名探偵コナンから、平和な2人を
以前から描きたかったお話を
ちょっと短く

Cara
(イタリア語で、愛しい人)


和葉とドラマを観ながら、喋る工藤の背中を
眺めながら、

オレはポアロの兄ちゃんと、工藤のおとんと
ダイニングテーブルに座り、話をしていた


肝心の工藤は、7歳の記憶しかないらしく

目が覚めた時は、この家で看病されとったと
言うて

ホンマにオレや和葉や、助けたはずのポアロ
の兄ちゃんの事もわからんらしい

ポアロの兄ちゃんは、大阪駅でコナンを見失
った後、近隣を探し回っていて

怪しげな車が停まっていたので、様子を見に
行こうとした途端、その車から捨てるように
路上に投げ出されたコナンを見つけた、と

慌てて抱き上げたところを、いきなり複数人
に木刀のようなもので殴られて、

なんとか振り切って逃げる途中、車に撥ねら
れたので、思い切って大袈裟にガードレール
下に転がって倒れ込んだとか


「対向車が来たり、通行人が現れたから、
ボクとコナンくんが死んだと誤解したまま、
逃走してるんじゃないでしょうか」


兄ちゃんは、時間的に考えても、おそらくあ
の車の中でコナンは何か薬を与えられたので
はないか、と言う

その該当車両は、もう見つかっていて
盗難車両やったし、大阪湾に沈められとって
車内には何も残ってへんかった事は確認済み

兄ちゃんとコナンを跳ねた事件現場について
も徹底的に調査が入ってるし、事故車両も、
昨日、府外で見つかって、調査中や

ただ、まだ容疑者グループはいくつかあるも
のの、実行犯や黒幕についてはまだ断定され
てへんし

工藤の記憶が鍵なんやけどなぁ


工藤は、和葉に向かって、蘭ちゃんについて
熱弁をふるっていた

この女優さんより可愛い、とか
内緒だよ、と和葉に喋っているけれど

少し離れた場所に居るオレらの事は気がつい
ていないと言うか

7歳の工藤は、好きなもの、気になったもの
については、物凄い熱量で集中する

見ていて、すぐわかるんや

あ、コレ、好きなんや、とか
これはそこまで好きやないんやな、とか


キッチンからええ香りがして来た

オカンと工藤のオカンがたてこもって作って
いたんやけど

和葉と喋っていた工藤は、パッと明るい顔を
して、パタパタと走って来た


「お待たせ」


工藤のオカンが、熱々の耐熱皿を持って現れ
ると、工藤のおとんも嬉しそうな顔をした

オカンも運び込み、テーブルいっぱいに並ぶ
ご馳走に、ポアロの兄ちゃんも笑顔や

「うわぁ、美味しそう!」

和葉も大喜び

ええ香りの正体は、香味野菜たっぷり、チーズ
もたっぷりのラザニア

温野菜サラダ
オニオンスープ
白身魚とオレンジ、野菜のカルパッチョ

ガーリックトーストもついてんねん

サンドイッチ用の食パンを少し薄く伸ばして
からトーストしたらしいんやけど
コレ、結構ええ仕事してくれんねん

冷ましながら、ふうふう言うてラザニアを
食べる工藤は、コレが好物らしく

オニオンスープとガーリックトーストを組み
合わせて食べるのが、工藤のおとんは好きら
しい

賑やかなな食卓に似合う、カラフルな食事は
その瞬間だけでも、事件を忘れさせてくれる



工藤が何故この地で狙われしまったのか

犯人グループの手際の良さも気になってる

うまい具合に、Nシステムにひっかかってへ
んねん、どな車両も

それに

何故、東都でひとり歩く工藤を狙わず
大阪やったんやろか

オレ、それが気になってんねん

食べながら、みんなで談笑しとる工藤と
ポアロの兄ちゃんを見ていた


この時、オレは気がつかへんかったんや
そんなオレを、和葉が見ていた事を

to be continued