名探偵コナンから、平和な2人を思いつき
短く走り書き


Summer 2


「急なお願いして、ゴメンなさい」

でも、助かった!と言う哀ちゃん

ラボからは、もらい過ぎなくらいのバイト料が出てしもうて、私、お父ちゃんの扶養を外れなくち
ゃアカンようになってん

哀ちゃんと、ラボの人から、こっちに留学する事
を真剣に考えてみないかと誘われた

大学進学の時、ホンマは迷ってん

でも、日本の大学で基礎を学び、それからの方が
良いような気がしていて

後は、平次の事を諦めきれへんかったんや

同じ志望校はとても無理やったし、違うエリアに
なるけど、同じ関西エリアやしって

もう少し、会えると安易に考えていたんは、多分
私だけやないと、当時はそう思うてた

別々の志望校やってわかった時、平次もそんな軽
いノリやったから

でも、それが私の大きな勘違いやったって事を、
最近、噛み締めてんねん

ぶっちゃけ、平次にとってはどうでも良かった

幼なじみ以上に発展する気の無いオンナの事なん
どうでも良かったんや

煩い私から逃れられるって、せいせいしとったん
やないかって

その後の態度からは、そうとしか感じられへんか
った

その事に気付いてしもうた時
私には、絶望感しか無かった

もう一生、そこから先へは進めへんのやって

留学の件は、真剣に考えてみる事にして、私は夏
の終わりに帰国した

帰国して、1ヶ月振りのマンションに帰った私は
溜まった郵便物を整理したり、換気したりしなが
ら、おばちゃんとかにも、帰国を報せた

いつ、大阪に顔を見せてくれるんか、盛んに催促
されたけど、私は何となく返事を濁した

久しぶりに、日本のニュースを目にして
私は固まった

元高校生探偵、服部平次、婚約

疑問形ではなく、確定情報として載っていたんや

怖くて、細かな内容を見る気にはなれへんかった
とても正気で記事を読む気には、なれんかった

一睡も出来んまま、夜が明け

告白すらまともに出来ひんまま、失恋してもうた
現実に、ショック過ぎて、声も涙も出えへんよう
になった

あぁ、こんな事なら、無理矢理捕まえてでも、ち
ゃんと告白して、振られておけば良かった

何万回、後悔しても、もう遅いんや

戻れるなら、あの頃に戻りたいと、どんなに願っ
ても無駄やってわかっとるのに、諦められへん

情けないけれど、ぐるぐる、ぐるぐる
出口の無い迷路を彷徨う事しか出来ひん私

幼なじみとしての立ち位置を、失いたくないばか
りに、素直にならんかった私には、失恋する権利
すら無いのかも知れへん

大好きな夏が、キラキラ眩しい夏が
真っ黒に塗り潰されていく

混乱する私の部屋のインターフォンが突然鳴り、
思わず飛び上がる

慌てて画面を見て、
私の緊張はピークに達したんか

突然、視界がブラックアウトした


to be continued