名探偵コナンから、平和の2人を
昨夜の続きです
短めに


それからの2人 2
Side Kazuha 


明け方、不意に目が覚めた

私のすぐ傍で、爆睡しとる平和な寝顔を見つけて
思わず口元が綻ぶ

無事に、帰宅出来たんやね
おかえり、へーじ

そっと額にキスをして、起こさないよう部屋を出
てみた

顔を洗い、エプロンを身につけて、キッチンへと
立った

手を洗いながら、ふと光るものに目が行った

平次と一緒に選んだカップルリング

艶消し加工がしてあって、シンプルなプラチナの
リングやけど、裏側まで平次と職人さんがこだわり抜いたそれは、来春から結婚指輪になる予定

来春、平次のお嫁さんになる事が急遽決まった私

慌ただしくお支度も始まったんやけど、結納の時
みんなに言うたんや

結婚指輪も、婚約指輪も要らんって

おばちゃんが大事にしとった指輪が、リフォーム
されて私に届けられとって、もうそれでも十分過ぎるからってな

それに

生まれて初めて、プレゼントされたアクセサリー
大事にしたいんよ

せやから、カップルリングをそのまま結婚指輪に
してもらう事にした

平次は、「こだわって作っといて良かった」と、
苦笑しとったけど、自分も大事にしたいからと、
私の意見に賛成してくれたんよ

平次もずっと付けてくれてるのが、実は何よりも
嬉しかったりする私

今日は、ゆっくり2人で朝食をとれそうやから、
何にしようか、冷蔵庫やらあちこち見てまわる

キッチンに立って、料理をする時間が好きや
無心になれるし、上手く出来ると嬉しいしな

その楽しみを教えてくれたおばちゃんには、めっ
ちゎ感謝しとるんよ

今朝は、お野菜がたっぷりあったので、ボールに
いっぱいサラダを作って、ドレッシングを作って
みた

人参のグラッセを添えたお皿には、オムレツにす
る事にして、オニオンスープを先に仕掛けた

ごはんを炊いてないし、パンもなかったので、た
まには、と、ガレットを焼いた

サラダを巻いて食べてもええし、果物とヨーグルトを巻いてもええからな

「むっちゃええ匂いする」

ふわぁ、とあくびしながらボッサボサの頭で起き
て来た平次に、おはようさん、と言うと、ん、と
言うて、ちょっと待っとき、と洗面台に向かう

テーブルに朝食の用意を揃えながら、待ってると
おはよ、と言うて抱きついて来た

おはよ、と言うてキスを交わし、ハグをする

オレは朝飯より、オマエの方が、と頬をポリっと
指先でかいた平次

あほ、と言うて、目の前にスープやコーヒーを並
べると、美味そうと笑う

「「いただきます」」

モリモリと朝ごはんに手を伸ばす平次
食べる時間も惜しんで事件を追っていたらしいから、少しでもちゃんと食べてや、と思う

ごはんを食べながら、事件のあらましを説明する
平次を眺めながら、私もその話に聞き入る

食べ終わって、一緒に後片付けしたり、洗濯やら
掃除をしながらも続く話に耳を傾けて、2人であ
れこれメモを取る

買い出しに出ないとアカンので、2人で車で郊外
のショッピングモールまで足を伸ばした

その道中も、一生懸命に言葉を紡ぐ平次

壮絶なすれ違いから、少し季節は移ろいで
平次は平次なりに、精一杯の誠意を持って、私と
対峙してくれるようになった

ちゃんと、恋人やと言うてくれるし
最近は、嫁やと言う

まだ、嫁にはなっとらんよ、と言う私と
オレ以外、どこに嫁入りする気やねん、と怒るようになった平次は

相変わらず、ケンカもするし
仲良くもする

少しだけ、大人になって
2人だけの秘事や、キスハグもするようにはなったけど

ベースに在るのは、幼い頃から共にあった日々

恋人になってからの平次は、かなり変わった

不器用やけど、ちゃんと一生懸命に対峙しようと
頑張ってくれとるのは、ようわかったし

相変わらず事件に飛び出すけど
帰ったらちゃんと話をしてくれるし、聞いてもく
れるようになった

私の夢も、本気で応援してくれとるし
私が落ち込んでる時は、励ましてくれる

必ず、私の味方で居てくれる

愛してるとか、好きとか
中々言葉にはしてくれへんけど

淋しい時とか、辛い時は、必ず言うてくれる

せやから、私も素直になるように頑張ってる

出来るだけ、言葉にするようにしたし
甘えたい時は、甘えるようにした

平次が案外、甘えん坊で、あまやかしたがりやっ
て事も、恋人になってから知った事

「ええ天気やから、少し寄り道しよか」

ご機嫌な平次の運転で、車はすいすいと街中を走り抜ける

鼻歌交じりの平次と、たくさんお喋りして
買い物して

他愛ない日常が、私は何よりも大切にしたいと、
最近、強く思うようになった

まだまだ歩き出したばかりの2人やけど
これから先も、一緒に歩いて行きたい、と思う私

平次、大好きやで

気持ちを込めてキスを交わした