名探偵コナンから、いつもの平和の平和な
お話を未来視点で


ちびっこ探偵のパトロール 番外編


「え?翔平が?」

「せやねん」

和葉と2人で出かけるのは、久しぶりで、
それでも、話題は自然と子供の話になる

今日は、子供らからのプレゼントやねん

休みが取れたから、どこか連れて行って
やる、言うたオレに

「今月は、母の日もあるし、オカンと、
おとんの誕生日も、結婚記念日も、ある
やろ?」

せやから、オカンとデートして来たら?

と言うたんは、翔平で、お土産買うて来
てくれたらええよ!と笑うのは凛櫻や

凛音は、オレらが家を出る時、ちょっと
泣きかけたんやけど、凛櫻と翔平に頬に
ちゅ、とされると、もう2人に夢中で

「あはは、私や平次はお兄ちゃんとお姉
ちゃんに負けたな」

「せやな」

留守は、 オレ達に任せておけ、と、我が
家に、黒羽と青子嬢、そして藍子ちゃん

更に、オカンに付き添われ、翠と2人の
供らが訪ねて来てくれて、うちの3人の子
は、寂しがるどころか、ちょっとしたパ
ーティー状態や

和葉と結婚して、16年目がスタートして、
お互い34歳になった

気がつけば、それなりに部下も出来て、
余計な会議に駆り出される事も増えたし、
現場で指揮を執る数も増えた

仕事は、過酷さを増し、事件もその難易
度を上げ、日々複雑さを増している

やりきれない事件も増え、正直、どんな
に経験を重ねても、消せない苦しみも、
傷も残されるけど

それでも、前を向いて、歯を食いしばれる
のは、愛すべき妻と、可愛ええ子供達が、
居るからや

その存在に、めっちゃ勇気をもらって、
そして、めちゃくちゃ癒されてる

オレは、数ヶ月前にしたあの家族旅行の
前に起きた事を、正直に和葉に告白した

カフェで、お茶とケーキを食べながら、
オレの話を黙って聞いていた和葉が、ぽ
ろぽろ涙を零した

スマン、と謝ったオレに、違う、と言う
た和葉

「ちゃうの、哀しくて、や、ない、の」

私な、と言う和葉が言うた

子供らが、方法は少し間違えてはいるけ
れど、自分と、オレを、想ってくれた事
が、めちゃくちゃ、嬉しい、と

ちゃんと、優しい子に育ってくれた、と

「実はな、私」

仕事、辞めた方がええんかな、と思うて
たんよ、と

「和葉?」

オレは、初耳やった

せやかて和葉、この間も大きな事件解決
に協力して、表彰されたし、本業の方で
もまた研究成果を上げたばかりや

子供らも、お母ちゃん凄いって、大喜び
しとったんやで?

和葉に、ゆっくりでいいから、どうして
そう思うたんか、話、してみ?と言うた

頷いた和葉は、言うた

子供らも、どんどん成長してしまって、
仕事も忙しくなって、中々、一緒にゆっ
くりしてあげられへん、と

凛音が生まれた後は後で、体調を崩して
しもうて、みんなに迷惑をかけたやん?

凛櫻と翔平も、私を気遣ってくれとるし
それが、申し訳無くて、と

「平次かて、忙しいのに、ごめんな」

ホンマは、妻として、もっとしてやりた
い事も、たくさんあんの、と、困った顔
をする和葉に、オレは笑った

「なぁ、和葉」

オマエ、知らんやろうから、ええ事教え
たるわ

オレは、携帯を見せてやった

毎日、オレの元に届くメール
写真が付いてる時もある

それに、データは、ちゃんとバックアッ
プを取って、保管してあんねん、全部

それは、翔平と凛櫻が、2人で毎日交代し
ながら届けてくれる、ラブレター

おとんが大好きなオカンは、今日も頑張
ってんでー、とか、仕事、大変そうやで
とか

ひらがなで綴られる、オレの居ないオレ
の家族の日常が、そこにはあんねん

自分らのこととか書いても、必ずどこか
に、和葉のことが書いてある

和葉は、母親として、もう少し傍に居て
あげなアカンと思うてるみたいやけど、

何も、してあげられへんと思うてるみた
いやねんけど、

翔平と凛櫻にとっては、

仕事をしとる和葉は、誇り

家に居てる時の和葉は、自慢の優しい母
であり、オレにめっちゃ溺愛されとる嫁

そうらしい事が、文面から伝わって来る

「は、恥ずかしい」

涙を拭うてやると、鼻を赤くした嫁さん
は、そう言うて、こんなんしとるのは、
知らんかった、と笑うた

オレは、スタンプ返すんが精一杯やけど
時々は、ちゃんと返していた

オレの返事が無くとも、毎日届くそれは
オレが、全力疾走出来る燃料になってん
ねん

早う解決して、家に帰る

可愛ええ騎士2人を抱き締めて
大好きな嫁さんを抱き締めるために

騎士は3人に増えたし、やがてスキンシッ
プは拒否される日が訪れるやろうけど、

大好きな嫁さんには、死ぬまで、いや、
んでもやな、生まれ変わっても、してもら
いたいし、したいと思うてるんやで?

和葉と2人、一緒にランチして、映画見て
買い物もして歩いた

夜の街をドライブして、たくさん、たくさ
んキスをして、抱き締めた

和葉の体調もあって、まだ無茶は出来へん
から、ディナーの後、泊まったホテルでは

一緒にカップルでリラクゼーションの施術
を受けて、一緒に風呂入って、抱き締めて
眠りについたんや

翌朝も、一緒に朝風呂入って、朝飯食うて
ピカピカになった和葉と、散々いちゃこら
して、帰宅したオレらやった

翔平と凛櫻と凛音を捕まえて、めっちゃ嬉
しそうにハグしたり、チュウしたりする嫁
は、幸せや、と笑うた

基本、うちはオカンが笑うてたら、まぁ、
オッケーやねん

と言うたんは、どんどん成長していく翔平
であり、凛櫻や

凛音は、まだ生後5ヶ月とちょっとやけど
やんちゃな兄と姉を見ながら育っているせ
いか、妙に落ち着いとると言うか、何と言
うか

翔平に約束させられた通り、今年の春の花
見の宴席上で、オレはみんなの前で言うた

嫁が、初恋のオンナやって事

みんなに、ええ加減に飽きひんのかって、
よう言われるけど、どんどん成長して行く
嫁は、ちゃんと見てへんと、すーぐナンパ
されるから、飽きとるような余裕を持った
事を持った事は一度も無い、と

工藤も、宴席に同席しとって、府警の面々
に挨拶がてら、オレが和葉にぞっこんなん
はずっとや、と、まだ付き合う前から知っ
とるからと証言してくれた

残念ながら、和葉は仕事で不参加やったん
やけど、姉ちゃんが、ちゃんと翔平と凛櫻
を連れて来てくれてん

満足そうに笑う翔平は、やっぱり笑顔は嫁
に似てて、お父ちゃん大好き💕と言う凛櫻
は、ますます和葉に似てきた

後からおっちゃんが抱いて現れた凛音は、
みんなから可愛ええ!と言われ、古株から
懐かしい、和葉ちゃんの赤ちゃんの頃と似
てる、と騒がれた

せやけど、凛音は、和葉と言うより、おっ
ちゃんが今でも溺愛しとるおばちゃん似や

色白で丸顔、大きな丸い瞳
ニコニコ笑う顔は、親バカと言われても、
可愛ええんや

凛櫻と翔平も、オカンを取られたと騒がれ
るかと思うてたんやけど

アイツらの場合、和葉はオレのもん
凛音は、オレらのもん
と言う、新しい基準が出来た様子

翔平でさえ、ランドセルに入れて学校に
く方法を真剣に考えていたくらいやし

家に帰ってから、宿題をしながら、夕飯
食べながら、凛音を構うのか日課らし

「この間な、凛櫻と翔平で、お部屋をな、
片付けしててん」

どうやらそれは、凛音を迎える準備だっ
た様子

凛音の1歳のお誕生日は、工藤らからもら
って、預かっている大きなスヌーピーを、
凛音にあげるんだと

お部屋に、凛音のスペースも用意するんや、
と、騒いでいるらしい

小学校での生活は、色々あるようなものの、
楽しんでいる2人

「後、数ヶ月もしたら、凛音も立ったり、
うっかりしたら歩いたり、喋り始めるんや
もんなぁ」

そら、双子も大きくなるはずや

「なぁ、平次」

「ん?」

和葉が言った

いつ頃から、お母ちゃんと一緒に手を繋が
ないようになった?と

いつからやろなぁ

思い出せへんけど、思い出せる古い記憶で
は、オカンではのうて、和葉と手を繋いで
たからなぁ

「翔平、か?」

うん、と頷く和葉は、寂しいと言う

凛櫻は、ちゃっかり屋さんやから、時々は
自分からひしっ、としがみついたり、ぎゅ
っとしたり、今でもしてくれるんやけど

「翔平はな、何や、幼稚園の年長さんくら
いやろか」

自分からは、してくれへんようになってん
と言う

凛音や、凛櫻に、さっと譲ってしまうって
言うか、と

頬にちゅーも、嫌がるようになってん、と

多分、小学生になったから、これからもっ
と、もっと、離れて行くんやないかな

「まぁ、まだええんとちゃうか?」

今はまだ、時々、凛櫻や凛音をオカンに預
けたりした時とか、嫌がっても捕まえて、
甘やかしてやったら?と言うたオレ

「ちなみに、オレも、してもらいたい」

オレは、オマエ限定やけどな、と言うて、
和葉を抱っこした

するのもええんやけど、してもらえるのも
気持ちええんやで?と言うて、和葉にそっ
と抱き締めてもらう

「恥ずかしいから、降ろしてぇや」

そう言うた和葉に、ちゅっとした

嫌や、ってな

翔平も、凛櫻も、凛音も
それぞれのペースで大きくなってる事は、
喜びでもあるけれど

手が離れ始まった寂しさは、オレでもある
から、和葉やオカン達は、もっとやろな

「なぁ、和葉」

我が家は、スキンシップ、多目で行こうや
当面は、ぐりぐりしまくってやろうや

他のみんなの家程、一緒に居てられるわけ
や無いし、少ない時間でも、濃密に接して
いられたら、ちゃんと伝わると思うんや

「オレも、和葉も、愛してんでって事」

そうかな?ええかな?と言う和葉に、ほな
行って来ようか、と言うて、2人で部屋を
出た

子供部屋で遊んでいた3人を、奇襲する

凛音がゴロゴロしとる両脇で、凛櫻と翔平
が絵本を読みながら、凛音にちょっかいを
出してたんや

和葉と2人、3人まとめてぐりぐりしてやっ
たんや

きゃあきゃあ言う3人に、めっちゃくっつ
いて、ヤメろと騒ぐ翔平も、逃しはせんか
ったんや

もう少ししたら、翔平はこの輪から抜けて
しまうやろうから、今は、まだ

久しぶりに、翔平を担いで、歩く

確実に、筋力も腕力もつき始めたのがわか
るんや

双子の凛櫻とは、少しずつ違いが出始めた

肩車して、ベランダを歩いてみたりしなが
ら、オレは翔平と久しぶりに2人だけでゆ
っくりと話をした

英語は好きみたいで、夏に工藤と姉ちゃん
の家に遊びに行くために、と、より一層、
練習しとる様子で、かなり上達していた

「オレな、英語も好きやけど、他の言葉
も覚えたいんや」

せやから、まずは、英語はマスターしたい
と言う

他にも、色々やってみたい事があるらしく、
珍しくよう喋る翔平や

たまには、和葉にも、甘えてやれや、と
うたオレに、嫁を甘やかすんは、旦那の仕
事やって聞いたでー、とすかさず返すあた
りは、いつもの翔平らしいけどな

でも、凛音の事となると
途端に甘い翔平が、ホンマに可愛ええと、
思うオレ

「凛音?可愛ええに決まってるやん
あれが可愛いくなくて、どれが可愛ええね
ん?」

凛櫻も可愛ええけど、と、双子の妹もちゃ
んとフォローするあたり、オレには出来ん
ような真似すんなや、と思うけど

少なくとも、凛櫻も凛音も、この兄が大好
きで、仲良し兄妹なのは、忙しいオレらに
幸いしてると思う

まぁ、ケンカも派手な兄妹やけどな

和葉の方針で、ケンカの時は、中途半端に
仲裁せず、仲直りするまで、出来るだけ、
本人らにさせるんや

まぁ、間違えた方向に転がりそうな時は、
もちろん軌道修正、するけど

「凛音も、あっという間に大きくなってま
うんよね」

「何や、和葉、もう寂しいんか?
ほな、翔平らもええ、言うてるし、もうひ
とりくらい、頑張ってみるか?」

あ、あほ!
言う和葉と、今度の休みは、めちゃくちゃ
仲良うしような、と約束して、オレは仕事
へと向かった

いってらっしゃーい!

と言う翔平の背中には、凛音がくくられて
るし、凛櫻は凛音と和葉とちゃっかり手を
繋いでる

全員にちゅーして、嫁にはもっとちゅーし
て、家を出た

Fin.