名探偵コナンから、平和の2人の平和な日常
をそっとお届けします


Winter song 3


「和葉、ちょっと」

平次に呼ばれて、おばちゃんの携帯にかかって
来た電話の事を聞かれた

直接、その電話の主とは話せてへん私
おばちゃんは、わかりました、伺います、と言
うて電話を切った

病院名や何かは控えてあったし、どんな声やっ
たかとか、どんな音がしたとかはおばちゃんが
お父ちゃんらに話してある

「何でコナンに電話したんや?」

「平次がケガした言うのに、一緒に居るはずの
コナンくんが、私に連絡してくれへんはずはな
いって思うたからや」

コナンくんも一緒にケガしとんのかって心配に
なったんよ、と言うと、オレよりコナンか、と
言う平次

「は?」

「いや、何でもあらへん」

何でも無いワケ無いやろ、その顔

そう言うても、うるさい、と言うてぷいっと外
へ出て行ってしもうた

「何なん、平次」

多分、拗ねてるんだと思うよと笑うコナンくん
ここへ来る途中も、何で和葉はオレに連絡せえ
へんのや?って、ずっと言ってたらしい

そんな事言うたかて、平次がケガしとったら、
電話に出られへんやろし

って言うか、事件の最中は、一切の連絡を無視
するくせによう言うな、自分、と思うたけど

「本当はね、和葉姉ちゃんの事をめちゃくちゃ
心配してたんだよ?」

「え?私??」

うん、と言うたコナンくんは、車の中で平次が
何遍もメールやメッセージを打っては消してい
たし、電話を掛けようとして止めてたんだ、と
教えてくれた

「自分に一番近い人物を狙う、言われたら、
間違いなく、家族より和葉の方が危険や」

平次がそう言うてたのを、コナンくんは録音し
とったらしく、データを転送してくれた

「これって、和葉姉ちゃんは、平次兄ちゃんに
とって、家族以上に近しい大事な人って事でだ
よね?」

そうなんやろか?

「だとええけどね」

そっと笑い返すしか、出来へんかった私に、
コナンくんは、もっと自信持った方がいいよと
言うた

期待させるような事は、何度かあったけど
今日に至るまで、平次から特に何か言われた事
も無いし、された事も無い

進路についてかて、ホンマは平次に相談してみ
たかった

こういう道に進みたいんやけど、私に出来ると
思う?って

背中、押してもらいたかったんよ、ホンマは

平次の傍を離れた事なん無いし、離れたくはな
いけれど、どうしても、諦めきれへんの

「和葉姉ちゃん?」

どうしたの、と手をきゅ、っと握られて我に返
った私

どうやら考え込んでしもうたらしい

「ううん、何でもあらへん」

さ、行こうか

コナンくんの手を取って、平次を迎えに行く事
にした

「こらぁ、かずは💢」

己は何をしとんのや!と、凄い剣幕でやって
来た平次は、私からコナンくんをひったくる
勢いで引き離し

「覚えてろよ💢」

と捨て台詞を吐いて、どこかへ行ってしもう
たんや

ホンマに、何なん?平次

私は、ぽつん、と佇んでいた


to be continued 


>>コナン&平次視点

「バーロー💢
いきなり嫉妬全開で暴れ回りやがって!」

そんなことする前に、言うべき事をちゃんと
言って、先に和葉ちゃんを安心させてやる方
が重要だろが💢

げしっ、と工藤に脚を蹴られた

「痛えっ!」

「和葉ちゃんは、もっと痛かったはずだぜ?
オマエが事故らねぇ前に言っておく」

単純に、好きだって言っても、簡単には信じ
てもらえねぇから、覚悟しとけよ?

「へ?」

工藤の言うてる意味がわからん

好きやって伝えて、カップル成立
ちゃうんか?

「だからオメーはダメだって言ってんだよ💢
総てはオメーのせいだ、服部」

工藤はめっちゃキレて怒った

オレの言動、行動のせいで、和葉は自分への
評価がめっちゃ低いし、オレが和葉を本気で
好きやって事、全くそうは思うてへんって

「愛してるって、この状態で言っても、おそ
らく家族愛とか姉弟愛に勘違いされるだけだ
どーすんだよ、服部!」

「何やてえ!!」

思わず飛び退く程、驚いた
そんな、それは無いやろ、和葉

身体から、魂が抜ける程落胆したのは初めて
かも知れへん

子分やの、可愛ええ妹分やの
ただの幼なじみや、言いまくった自分をこの
時ほど憎んだ事は無い

そんな
ほな、オレはどないしたらええんや?

「平次、コナンくん」

そろそろ、夕飯の支度でもしようかと思うん
やけど、和葉ちゃんは?

え?

一気に血の気が引く
オカンと一緒や無いんか?

しまった

オレと工藤は、慌てて飛び出した

「和葉ぁっ!」

to be continued