名探偵コナンから、平和の2人の平和な日常
をそっとお届けします


Winter song 2

平次とコナンくんは、ホンマにあんまり寝て
も居らんかったみたいで、お風呂から出て、
すぐに客間に入ると倒れ込むように寝てしも
うたんや

おばちゃんと2人、冷えへんように布団をし
っかり掛けてやって、私とおばちゃんも寝室
へと入った

久しぶりに、おばちゃんと並んで寝る

「和葉ちゃんは、そろそろ進路、決めたん?」

髪を梳かしながら、おばちゃんが言うた

「うん、漸く決心したんよ」

そう?と穏やかな笑みを浮かべたおばちゃん

で、どんな道を行く事にしたん?と問われた

あんな、と言うて、おばちゃんに自分が決め
た進路を話す

「そう、そらええ経験になると思います
社会人になってしまえば、留学も中々出来ん
と思うし、若いうちに経験も見分も広めてお
く事は大事やと思うで?」

おばちゃんは、1ヶ月だけやったけど、大学の
時に交換留学をした事がある、と言う

「和葉ちゃんのお母ちゃんと一緒に行ったん
よ?平蔵さんや、遠山さんも一緒にな」

「え?そうなん?」

両親から聞いた事は無かった

どうやら、国際交流や親善の絡みで、剣道やら
弓道、かるたやお華、日本舞踊にと和の嗜みが
ある生徒を選抜した交換留学やったらしい

剣道で学生チャンピョンと準優勝やったお父ち
ゃんらと
かるたでクイーンになったおばちゃん
日舞が得意やったお母ちゃん

この4人が選抜されて、行かされたと笑う

「もう、めっちゃ珍道中やってん」

英国に行ったらしいんやけど、お母ちゃんの
方向音痴に、おっちゃんらの事件体質が災い
して、縦横無尽に英国内を走り回る事になっ
たと言うんや

「え、じゃあ平次の事件体質は…」

「間違いなく、平蔵さんの血やね」

おばちゃんは笑う
そして、平次が調子に乗るからこの話は内緒
やって言うて、その英国での珍道中の話をし
てくれてん

まるで、出かける先で事件に巻き込まれる私
や平次と一緒やん、とおかしくなる

「英国でそんな事があったせいか、帰国した
ら、平蔵さんと遠山さん、めっちゃ多方面か
らお願いごとされてなぁ、大変やってん」

平次達のように、無償であちこち飛び回って
いたらしい

それって、探偵とちゃうの?と思うんやけど
おばちゃんは、どちらかと言うと、悩み事を
解決する番人みたいな感じやった、と笑う

「せやかて、平蔵さんらの事件は、人は死な
んしなぁ」

おばちゃん、そこ?と思うけど

でも、あの強面やけど優しいおっちゃんも、
平次と同じような事しとったんや、と思うと
何故か愛おしく思えた

「おばちゃんも、心配した?」

「えぇ、それはもう、現在かて同じやわ」

それも、心配する対象が2人やからねぇ、と
笑う

「おばちゃん、私が京都に行って平次が東京
行ってしもうたら寂しい?」

「え?あの子、東京行くん?」

おばちゃんは、心底驚いた顔をした

学校でそう言う噂になってるし、先生らもそ
れを否定してへんよ、と言うと、あらそう、
と言うた

「おばちゃんは、平次にどんなんなって欲し
い、とか、夢あるん?」

「平次に?」

せやねぇ、と思案顔をした後、言うた

願うのは、あの子の不器用なところもええっ
て理解してくれる人と一緒に笑っていてくれ
たらそれでええわ、と

「大事な人をしっかり護って、生きて行く力
さえあったら、後は何でも」

エリートになれるタマや無いと思うし、器用
なタイプでも無いと思うからなぁ、と

まぁ、あの子らしく、頑張るんやったら何で
もええんとちゃう?

私は大学があの子が自由に何でも挑戦出来る
最後の機会やって思うてるから、どこへ行こ
うが、何をしようが、口を出すつもりは無い

平蔵さんも、多分、あの子の決断に任せると
思うで、と笑った

平次、アンタはええ両親持ったね、と思う

服部一族の次世代を担う中では、平次はその
筆頭株や

周囲からの重圧は、半端や無いし、平次への
期待もめっちゃ凄い

おばちゃんの実家である池波家でも、平次の
子に跡取りをと願う声がある事も知っとる

でも、おっちゃんも、おばちゃんもどこ吹く
風と言わんばかりに、やんちゃな平次に手を
焼いていると言いながらも、その成長をめっ
ちゃおおらかに見守ってんねん

躾と礼儀作法やお稽古事には厳しいけれど、
それ以外は特に口出しせんと、平次の決断に
任せてる

それだけ、信じてるって事やろうし
平次も、わかってるって事やと思う

ええ親子やね、と思う

「あら、遠山家かて同じやろ」

確かに、うちもお父ちゃんは私にベタ甘やし
お母ちゃんは全国転勤のある仕事やから、長
年別居やけど、基本私に任せてくれとる

「まぁ、平次も和葉ちゃんも、大人になるた
めの最初の1歩を踏む時期になったんやね
2人でよう話し合って決めたらええよ」

こう思ってるやろとか、誰かがこう言うてた
から、で先走ったらアカンよ?とおばちゃん

「よう考えてみる」

それがええと言うおばちゃんと、それから少
しおばちゃんらが大学生やった頃の話を聞い
りして、過ごした私やった

翌日、おばちゃんと買い出しに行って、戻っ
来ても平次とコナンくんは爆睡しとって

コナンくんご所望のお好み焼きとたこ焼きを
く支度を整えてから起こした

2人共めっちゃびっくりしとって、顔を洗って
席につくと、珍しくコナンくんがウキウキし
た顔で、楽しそうにしておばちゃんの手つき
を見ていたんや

へぇ子供らしい表情も出来るやん、と思うた
は内緒

平次は得意気に、美味しいお好み焼きとは、
とか、たこ焼きについて語っていて、おばち
ゃんに煩いと叱られとったんやけどね

美味しいと食べまくる2人相手に、私とおば
ちゃんは苦笑するしか無い

どんだけお腹空いてて
どんだけ眠たかったんよ、と思うけど

それだけ必死で追いかけてた事件の影響で、
おばちゃんへ謎の電話がかかって来たんやな、
と思うと、油断出来へんなと思う私やった

to be continued