今日は、連載を少しお休みして
昨日、Pixiv にアップしたお話を、改訂し
てお届けします

名探偵コナン、平和の2人を描きます!

見ていたある海外ドラマのワンシーンを
平和で置き換えしてみたーい💕と思い、
少し設定を変更して、描いて見ました^ ^


恋でも無く、愛でも無く


「キスしろ!」「キス!キス!」


囃し立てる周囲の声に、どうしてこうなっ
た?と、オレは目眩がしそうやった

目の前のオンナも、最初は真っ赤になって
はっ、と、ここに来た目的を思い出したん
か、今度は困ったように青い顔をした

動け無いオレに、自分がする、と言う

自分がって、オマエは何を言うてんのや?
解ってんのかいな、と思うオレに、一歩ず
つ近づいて来た

囃し立てる声は、最高潮

どうするつもりや、と思うてたオレの服を
掴み、背伸びをした和葉が目を伏せて、唇
を押し当てた

自分の唇に重なる、柔らかで暖かな感触は
初めての感覚

先程まで和葉が飲んでいた、柑橘系のジュ
ースの香りがふわり、としたと思うと、ゆ
っくりと離れて行った

少しずつ離れて行く
伏せられていた瞳は、ゆっくりと開き、そ
の視線は彷徨うてたし、表情は堅い

こんなはずや無かった
こんな顔、させたかったワケとちゃう
 
ちゃんと言うべきことを言うて、幸せな気
分ですべきことやろ?

こんなん、アカン
絶対、アカンねん

囃し立てる声に、離れて行くその身体に、
自然と身体が動いた

腕を掴み、引き寄せた和葉の顔に手を添え
ると、淡く色付いた、さっき知ったばかり
の唇に、己のそれをしっかり重ねた

周囲の囃し立てる声が、歓声に変わる

慌てる和葉をぐいっと抱き締めて、より深
く唇を結んだ

食むように、自分の想いを注ぎ込むように
深く長く重ねて繋げて結んだ唇

もう、想いは恋ではない
もう、想いは愛でも足りない

深くなり過ぎて
潜り過ぎて
底が無い、際限無く堕ちていく感覚

漸く腕に抱いた感触を、離したくは無い

いっそこのまま、堕ちて行きたい
出来る事なら、2人で

深いキスに喘ぐ吐息さえ奪う勢いでキスを
長い長いキスを贈る

言葉に出来ない
言葉にならない想いの総てを注ぎ込んだ

囃し立てる声は、拍手喝采に変わっていた

「やるな、兄ちゃん」
「カッコいい~」

そらどうも、と適当な返事をして、和葉の
手を引いてそのカフェを後にした


話は、数時間前に戻る

オレは、和葉と共に、覆面車両の中に居た

府警がずっと追って居た、連続殺人事件の
疑者らしき男が居ると言うタレこみがあ
ったのだ

オレもその事件に関わっていて、犯人を
い続けていた

ところが、その容疑者が目撃されたのが、
人気のカフェテリアで、しかも、郊外型の
大型商業施設内にあるとあって

「いかつい刑事達で踏み込んだら、そらも
う一発でバレバレやろ」

カメラ持ち込むのも不自然やし、と言う
で、オレが呼ばれたんや

たまたま、そのショッピングモールにオ
と和葉が遊びに来てると知って、大滝ハン
が連絡して来たんや

和葉ちゃんと、カップルの振りして写真
か撮って来てくれへんかって

府警に居る婦警の中には、オレの相手役を
やりたい言う希望者が殺到して騒ぎになっ
たらしい

そんな浮かれた状況のヤツやと、仕事にな
らんと、おっちゃんが一喝して、和葉が一
緒に出掛けとるハズやから、2人まとめ
呼べ!と言うたらしいねん

オレ達は、その場で適当に服を買って来て
それぞれ着替えさせられた

オレはブルーのシャツにVネックの白Tシャ
ツにデニム

和葉は、白いブラウスに、ピンクのフレア
スカートにパンプスで、髪は降ろした

普段より、少しだけ大人っぽい服装に変え
て、恋人らしく腕を組んで店へと入店した

店側には、事前に予約を入れたんや
テラス席を指定してな

奴らはいつも集団で来て、テラス席の一画
を占領しとると聞いたからやった

ぱっと見は、ごく普通の若い兄ちゃんの集
団やけど、オレには判る

こいつら、ただの集団や無いってな

薬漬けやろな、とわかる奴も居ったし、
ンテリヤクザ系やとみられるのも居っ

一般客とそいつらとの間にオレらの席は用
意されとった

オレは冷コ、和葉はジュースを注文して、
そいつらの方に背を向けて和葉を座らせた

オレは和葉越しに奴らを確認して行く

「なぁ、写真撮ろう!可愛く撮ってや💕」

「お、おぅ」

和葉がポーズを撮り、オレはシャッターを
次々と押して行く

白いカメラで撮影した写真は、そのまま
面車両の中へと転送されて行くのだ

和葉越しに一通り全員撮り終えたが、容疑
者は居らんかったんや

でも、電話で場所を告げるやり取りをし
いるので、誰かと待ち合わせをしている様
子はある

携帯でそれを報せ、オレらは普通に茶でも
しながら待ってようとしたら…

突然、店員達が現れて、オレらの前で騒ぎ
めたんや

「Happy Birthday!!莉奈さん!」

クラッカーに歌に、手拍子に、唖然とする
オレらのところへ、ホールのケーキを持つ
店員が現れた

写真を撮るからろうそくの火を消せと言わ
れて、とりあえず、間違われているのはわか
ったが、騒ぎに奴らがこっちをしっかり見
て居たので、仕方なく和葉に火を消させた

店員が、おめでとうございますと、小さ
花束を和葉に差し出した

「では、記念写真を」

そう言って、店員がカメラを構えた瞬間や

ふらり、と現れた容疑者が、何の騒ぎや?
と後に居た奴らに合流したんや

何やら耳打ちされたそいつが、オレの方を
見て、ニヤリと笑ったんや

「おい!兄ちゃん、誕生日の彼女のためや
キスのひとつもせんかい!」

はっはっはー、と笑いながらそいつは言う
たんや

まるで、やれるもんなら、やってみ?と、
言うかのごとく

何を言うんや、と思うてたら、そいつらの
仲間が囃し立てるなり、一般客までもが
ぎ始め、カメラを構え始めてしまったん

潜入中とはバレたらアカンし、どないしよ
うかと考えとった

(私が、するから)

赤くなったり、青くなったりしてた和葉が、
ジェスチャーでオレに合図する

で、冒頭に至る、と言うワケやった

長い長い、深いキスを終えると、和葉の手
を掴んで代金を置いてオレは店を後にした

覆面車両に戻ると、微妙な空気が流れ

そらそうやろ、一部始終、ここに居た人ら
の目に触れたんやからな

和葉は完全に俯いてしもうて、その様子
ぎょっとした面々が、意味も無くバタバ
と動き始めた

「容疑者は間も無く店を後にする」

そう伝えて、後は刑事に任せる事にした

オレが舞い戻ってしまえば、すぐにバレ
しまうからな

一斉に車内に居た刑事達が逮捕に向かった
ので、車内に2人だけになった

ホンマは誰か残らなアカンのやけど、み
な気を遣ったんやろな

「スマンかった」

「何が」

「その・・・本気で、キス、してしもうた」

え?と顔を上げた和葉

「あんな場所で、芝居かて嫌やったやろ?
それなんに、我慢出来んでしてしもうた」

悪かった、と言うオレに、和葉は困ったよ
うな顔をした

本気やって、どういう事?と

「は?」

「せやから、本気って、どう言う事?」

「そら、その通りやんけ」

ちゃんと言うてや、平次!

アンタ、いっつも適当なコトばっかり言う
て、最後までよう言わんけど

持ち上げられたり落とされたりばっかりで
私は一体、どないすればええんよ!💢

「せやから、本気やって、言うてるやろ?
オマエに、惚れてるからキスしたんや」

オマエは芝居やったかも知れんけど、アレ
は、オレはガチで本気や!!💢

捜査中ってのも忘れてしてしもうたんや…
って、ヤバい

和葉も、あ、と言う顔をした


せや、捜査中やったんや

そう、オレと和葉は、捜査中やってん
と言う事は、つまり…

一部始終を、どこからか、撮影されとった
ハズで、しかも、その映像は、確実かつ
やかに、とある人達の元へも転送されとっ
たハズで

オレと和葉の携帯がほぼ同時に鳴り始めた

「お父ちゃんや」
「親父や」

ど、どないしよ、とオロオロする和葉を
んで抱き寄せた

しっかりキスをしてから、顔を離した

「取り敢えず、逃げるで!」
「う、うん」

荷物を掴んで、2人で手を繋いで覆面車両
から逃げ出した

オレ達は、後から知る事となる

車内でのやり取りも、逃げ出す様子も全部
ばっちり撮影されとった事を

後日、オカンの手で編集されたその映像
公開されると言う恐ろしい状況になる事を、
この時のオレ達はまだ知らない

Fin.

[newpage]

「君達は包囲された!」と言うドラマの
中場くらいで放送されたエピソードのひ
とつです

ラブコメ&シリアス刑事もので、もし、
主役の子がアクシデントでケガさえしな
ければ、もっとラストまで細かく物語が
展開したんだろうなーと言う惜しいとこ
らはあったのですが、

キラキラな子達が、色々ありながらも、
一人前の刑事に成長して行くお話でした

優秀&イケメンの刑事の男の子と
元気&可愛い刑事の女の子のカップルが

何となく、イメージが重なるところがあ
りまして^ ^

特に、恋心を認識した後の男の子のツン
と言うか、何と言うか、そのわたわ
たしたところが、原作平次くんの意識後
に少し重なったりもしまして

(完全、個人的意見です)

本当は、完全にドラマの流れを借りて、
いつか描いてみたいなーと、見ていたの
すが

我慢できずに描いてしまいましたw

今年中には挑戦してみたいな
パラレルになりますけど、案は浮かんで
いるので

最後までお付き合いいただき、ありがとう
ございましたー!

☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆