十一日目 | 須磨寺副住職 陽人のひとり言

須磨寺副住職 陽人のひとり言

生きるための仏教を求めて

みなさんご心配ありがとうございます!この通り元気でやってます。
まずは、昨日の野宿から振り返りましょう(笑)
山の上の27番に着いた時は雨もピークでずぶ濡れ…体力もギリギリだった。ここの通夜堂をあてにしていたが、今は諸事情でやってないとのこと。僕と同じように断られ、ずぶ濡れの見て3秒で野宿遍路だとわかる若者が一人…『どうしますか?』と聞くと、『下に屋根のある無人駅があるからそこで泊まる。良かったら君もどう?』と言われた。『ご飯ないんですけど』というと『分けてあげる』と言ってくれた。彼はお参りが終ってたので、先に降りてるよと言って別れた。僕がお参りして、ポツンとベンチで休んでると、お寺の方が『やっぱりうちで泊まってく?』と言ってくれたが、約束してるのでと断った。っていうか泊まれたのか…少しビックリした。駅まで降りてくと、彼が駅の柱に紐をくくっていろいろ干していた。『いや~バックん中、全滅。ビシャビシャ』彼の寝袋から水が滴り落ちていた。『いい感じの試練だ。こういうことの後にはいいことが必ずくるからね』あまりにもポジティブすぎる発言にたじろいでしまった。しかし彼の表情は曇っていた。彼はりょう君。なんと僕と同い年だ。見えない。やっぱり野宿マンだった。僕がトイレから戻ると彼は黄ばんだ布を持っていた。『あ、これ?四日間履きつづけたふんどし。うん…いけない臭いがするわ…』僕は『大変やな』というよくわからないうけこたえをしてしまった。そのまま、りょう君は調理にはいった。トマトとピーマンをきざんでいく。僕は彼がさっきまでふんどしを握っていたことを脳内メモリーから強制的に削除した。料理をしながらお互いのことをしゃべった。彼は友達の供養の為に遍路をしてるという。民族楽器をやっていて、音楽の話をしたり、遍路の話、仏教の話などをした。さっきお寺の人に泊まってく?と聞かれて断った話をしたら、『ずぶ濡れで歩いて疲れはてた人を決まり事だからって、追い返してしまうお寺ってなんなんだろう』と話していた。そのお寺がどうこうという訳じゃなく、そういう時代になってしまったんだと思うと少し寂しい気持ちになった。しかし、りょう君は僕が断って下に降りてきたことを喜んでいたようだった。そして料理完成!りょう君の愛とか他にもいろいろはいった?パスタができあがった。トマトが本当においしい!僕より過酷な状況なのに、食べもの分けてくれたりょう君に胸がいっぱいになった