映画「千夜一夜」田中裕子の静かな狂気に言葉を失う | 私の5 室は映画館・映画レビュー

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千夜、一夜
劇場公開日:2022年10月7日 126分
11/2(水)鑑賞



⚠ネタバレが気になる方へ

読む場合は、自己責任でお願いします



  あらすじ


北の離島にある美しい港町




登美子(田中裕子)は30年前に突然姿を消した夫(阿部)の帰りを待ち続けている





漁師の春男(ダンカン)は登美子に思いを寄せているが登美子は絶対気持ちに応えない


あらすじ途中ですが、言わせて欲しい

「こんなに想ってやってる、面倒みさせてくれ」

上から目線で余計なお世話、こんな男嫌なものは嫌




ある日、2年前に失踪した夫洋司(安藤政信)を捜す奈美(尾野真千子)が現れる



奈美は、折り合いをつけて前に進むため、洋司がいなくなった理由を求めていた



そんなある日、登美子は街中で洋司の姿を見かけ、声をかけて島に連れて帰るが…



  感想



例えばもし夫が失踪したら

7年、何も出来ませんでしたか?


なぜいなくなったのか?理由がわからないと、残された人は考えてしまう


なんで帰って来ないの?

私に何か原因があったの?

何が、気に障ったの?

何か、他に見つけたの?

誰かと暮らしているの?


悪い想像に傾くなら

拉致されたの?海で溺れたの?

記憶喪失になっているの?

事件・事故で帰れないの?


生きているの?それとも…

答えのない、自問自答は死ぬまで続く



2人の待つ女性(妻)



左・登美子(田中裕子)は30年待ち続け

右・奈美(尾野真千子)は待つ事に疲れ

2年で、区切りをつけたがっている




北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんの故郷

新潟の佐渡島での話なので、

拉致の可能性は排除できません

拉致の可能性を排除できない事案に係る方々

特定失踪者と呼ぶ



ここは、不審船が漂着して、男が一人上陸したりする描写もあり、隣国の関与の可能性が十分考えられる環境です



特定失踪者問題調査会に調査を依頼する依頼書の作成を頼みにきて、登美子と奈美は出会い依頼書は、登美子が作成しました



感想


登美子は葬儀で訪れた街中(新潟市)で

調査依頼書で名前も顔もよく知っていた洋司の姿を見かけ、島に連れて帰ります





彼の帰れない、帰りたくない理由は


妻の人生の計画に当てはめられ、未来が彼女の人生のピースになる恐怖から、帰れなくなり海洋生物探査船に1年?乗っていて、その後も帰ろうかどうしようか迷っていた



確かに奈美(尾野真千子)の

「何歳で子供を産んで、子供は何人で〜…」

という具体的過ぎる人生設計は

理想があると言えば、聞こえがいいけど



夫が理想の人生を作る駒にすぎないと言われているようで、妻に自分の人生をコントロールされる恐怖や不安を感じ、家に帰れなくなったのもわからなくはないと思ってしまった



夫にビンタくらわした奈美(尾野真千子



反省がいまいちわからなかった洋司

しかし、泊めてもらった登美子の家にて



深夜、誰かが喋る声が聞こえて覗くと…

そこに夢の中で夫と会話する(夢遊病状態)異常な登美子を洋司は目撃してしまう



覗いた洋司を、帰ってきた夫と誤解し「どうしていなくなったの?」と泣く登美子



そして洋司(安藤政信)は自分がしたことの重大さと取り返しのつかなさに気付く 



僕は、してはいけないことを

してしまいました、本当にごめんなさい

涙を流して謝り、姿を消します 



30年を屈しない強さで待ち続けていると思われた登美子は、狂っていました



生きてるかどうか分からない人を待ち続ける事は、静かに人を壊すそんな作品でした

(´-`).。oO