2016.5.29
一日一日ゆっくりと過ぎ行くようだが、振り返って一ヵ月
や一年が瞬く間に過ぎ行く速さに驚く。バッハに行き着いた
時に、この短い時間にバッハの音楽だけは、出来る限り聴い
て過ごしたいと思った。
七十五歳という年齢を眺めると、無意識のうちにも時間が
少なくなっている予感がある。早々と逝ってしまった友人や
知人も少なくない。その中でバッハに傾倒していた友人と共
に聴いた農民カンタータやコーヒーカンタータを思い出す。
人生とは何だろうか、それを考えるのが人生であり、何も
考えないのも人生に違いない。何が正しいかと考えることが
正しいことなら、何も考えないこともまた正しいことかもし
れない。
かえりみて何も考えない時間に、何かを考えさせようとす
る時間がある。バッハの音楽を聴いていて何も考えなくとも
そこから何かを無意識が受けとめている。この音楽は何故こ
のように充たされ安心出来るのであろうかと。