2016.5.16
会津八一の「学規」、第三項に「学芸を以って性を養うへし」とある。
自己流に学問と芸術を以って≪いのち≫を養う指針として、学問は
言葉で考える、藝術は言葉で表現出来ない対象と考えている。
学芸はバランスの在り方として、学問は生存面で藝術は生活面で
何れに偏っても≪いのち≫は成立たないと、こういう観方を老年の
時節には何かと考えさせられる。
自分は単純に学問は≪小説≫、藝術は≪バッハの音楽≫と割り
切っている。人生は読書と音楽、前者は生存面の仕事につながり、
後者は生活面に、とりわけバッハの音楽は生き甲斐に他ならない。
今朝、教会カンタータ147番を聴いて、まさに言葉では表せない
充実感や安心感を実感として受けとめていた。人生という自然現象
は大まか言葉で表せない対象と独りごちる。
老年に関して多くの書物があるが、私はバッハの音楽を聴くことで
納得している。バッハの音楽を経験することが出来る、それは老年
の時節に極めて相応しいものと思わずにいられない。