<319> 「健康寿命」とは「要介護年齢」ではない

「健康寿命」とは
「要介護年齢」ではない
【データが語る 令和高齢者の実像】
「高齢者」の年齢を引き上げるのはいいとしても、本当に
70歳まで、さらに75歳まで、働き続ける体力や気力はある
のでしょうか。
こうした議論で、必ず引き合いに出されるのが「健康寿命」
です。
厚生労働省によれば、「健康上の問題で日常生活が制限さ
れることなく生活できる期間」とされています。
最新の数字(2019年)は、男性72.68歳、女性75.38歳で
した。
ところがマスコミは「健康寿命=要介護年齢」といった主
張を繰り返しています。
つまり健康寿命を過ぎれば、多くの人が要介護状態になる
と言っているのです。
要介護の前には、要支援状態、つまり要介護ほどではない
が、日常生活に介助が必要な状態があります。
それも入れると、男性では70歳、女性でも72~73歳で、
もう仕事どころではなくなってしまうはずです。
ところが内閣府の高齢社会白書には、「特に65~74歳では
心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が
大多数を占めている」と書かれています。
まったく矛盾しています。
どちらが正しいのでしょうか。
感覚的には、高齢社会白書のほうが当たっています。
70代前半で要支援や要介護になった人が、何人いるか数え
てみてください。
私の場合は、親戚、友人・知人、ご近所を全部合わせて2
人だけです。
1人は末期がんの男性で、最期の3カ月間を、自宅で在宅
看護・介護
を受けていました。
もう1人は脳梗塞の後遺症で、リハビリを兼ねてデイサー
ビスに通っています。
しかしほとんどの70代は、男性も女性も元気で、要介護
にはほど遠い状態です。
具体的な数字も出しておきます。
厚生労働省の介護保険事業状況報告(令和2年)をもとに、
年齢・性別の要介護者(要介護1~5)の割合を計算すると、
次のようになります。
年齢
男性/女性
65~69歳 2.8%/1.6%
70~74歳 4.4%/3.6%
75~79歳 10.7%/8.0%
男性では、60代のうちに要介護になるのは36人に1人の
割合に過ぎません。
70代に入っても、74歳までは要介護は少なく、75歳を過
ぎてようやく1割を少し超える程度です。
また女性は60代での要介護リスクはかなり低く(62人に
1人)、74歳でも大半が元気であることが分かります。
つまり、高齢社会白書のほうが正しいということです。