<146> 高齢者の再婚。どんなことに注意すべき?
高齢者の再婚。どんなことに注意すべき?
筆者へのご相談のなかで、近年、高齢者の再婚に関する
相談が増えています。
高齢者の再婚は、お金や相続にまつわる問題が多くあり
ます。
詳しく見てみましょう。
親が幸せならばそれで良しなのか?
早くに配偶者を亡くした相談者さまのなかには、その後
の人生がとても長く感じ、時間をもてあましていると話
す方がいらっしゃいます。
特に、仕事一筋で生活を送ってきた男性は要注意。
仕事を辞めた後、自分のコミュニティーを持っていない
ことが多く、奥さまに依存しがちです。
そのような場合、奥さまに先立たれてしまったとしたら、
さまざまなことに影響が生じることがあります。
高齢者のなかには「男子厨房(ちゅうぼう)に入るべか
らず」と言われた時代に育ってきた方もいらっしゃるで
しょう。
妻の死後に一人暮らしになったからといって、料理だけ
ではなく、掃除や家計管理ができずに困ってしまうとい
うケースもあります。
その時、男性に子どもがいた場合はどうでしょうか。
30~50代の子どもであれば、共働きも多い年代です。
さらにその子ども(男性からしたら孫)もまだ手がかか
る年齢かもしれません。
もし母親が先に亡くなったからといって、遺(のこ)さ
れた父親の面倒をみるのは、負担に感じる可能性があり
ます。
こういったことから、妻に先立たれた男性のなかには、
精神的な側面と実際に生活に困っているという側面から、
「再婚」を望む方がいらっしゃいます。
しかし、その子どもは、「親が幸せならばそれで良い」
と思うのか。
必ずしもそうでないかもしれません。
男性は認知症発症率が低い?
令和元年6月に話題になったいわゆる『老後2000万円
問題』の金融レポート(金融審議会 市場ワーキング・
グループ報告書:「高齢社会における資産形成・管理」)
の中に、非常に興味深いデータが掲載されていました。
それは、男女別の亡くなる年齢と認知症発症率です。
併せて、男女別の人が亡くなる年齢も添えておきます。
女性は男性よりも長生きですが、認知症発症率も高い傾
向となっています。
一方男性は、女性よりも認知症発症率が低く、また意外
と長生きなのです。
「元気な高齢者」は再婚の可能性を秘めています。
例えば、年金受給が多い、資産があるなど、金銭的に余
裕はあるが生活そのものを維持することができないとい
う方の場合、自分の身の回りの世話をしてくれる人を求
めるということもあるかもしれません。
父親の再婚で資産が他人の手に渡ることも
もし、父親が再婚し後妻がきた場合、子どもはどうする
でしょうか。
子どもが自立している場合は、後妻と「養子縁組」をし
ないこともあります。
高齢者の男性の場合、結婚相手は自分より年下の女性で
ある可能性があります。
そうすると、かなりの確率で父親が先に他界します。
そこで、相続問題が起こるのです。
もし、男性の子どもが1人の場合、父親から100%の相続
資産が引き継がれました。
しかし、後妻さんが来たことで、遺産分割は下記になり
ます。
■後 妻:2分の1
■子ども:2分の1
また、後妻が亡くなった場合には、後妻の兄弟姉妹に相
続資産がわたります、
もし兄弟姉妹も亡くなっていたならば、そのめいやおい
にわたります。
もちろん、後妻に子どもがいれば、そちらにわたります。
このように、父親の資産が実の子どもではなく、他人に
わたってしまうのです。
これでは、子どもにとっては「父親が幸せならばそれで
良い」とは言えず、相続問題が起こってしまうかもしれ
ません。
高齢者の再婚は相続対策を万全に
高齢者の再婚が発生したら、婚姻届を出す前に相続につ
いて話し合いを万全にするべきだと筆者は考えます。
後に遺されるであろう後妻には、遺族年金があります。
例えば、後妻には遺族年金では不足する分を現金でおぎ
ない、形のある不動産や有価証券は子どもが受け継ぐよ
うにする、という方法もあるでしょう。
高齢で再婚をするということは、自分の財産の相続を明
確に思い描く必要があります。
自分の死後、家族・親族の関係や、財産の規模や種類に
より、複雑な相続になる可能性があります。
「もういいや!」では済まされないのが、相続問題です。
子どものためにも、新たに家族に加わる後妻のためにも、
相続対策は万全にしておきましょう。
