<107> 知っておきたい雇用保険の基本

失業したら給付がもらえる?
知っておきたい雇用保険の基本
「一生お金に困らない」ためには、計画的な貯蓄が欠かせないし、
運用も必要です。
でも、もっと大事なことがあります。
それは「働き続ける」こと。
働かなければ収入が得られず、収入がなければ貯蓄も運用もでき
ません。
ですから、働き続けて収入を得ることが最も重要といえます。
長い人生には、いろいろな事情で仕事を続けるのが難しいと感じ
ることがあるかもしれません。
そんなときでも、働く人を支えてくれる公的な制度を活用して
乗り切ってください。
■働く人を支える「雇用保険」
働く人を国がサポートする仕組みが「雇用保険制度」です。
今回はその仕組みをみていきましょう。
雇用保険は、働く人(被保険者)と勤務先が保険料を負担し、
それを財源として主に次のような給付を行います。
・求職者給付 失業した人が仕事を探すあいだ支給される
・育児休業給付 育児休業中に給与が支払われないときに支給
される
・介護休業給付 介護休業中に給与が支払われないときに支給
される
・教育訓練給付 資格取得やキャリアアップのための講座を
受講したときに、受講料の一部が支給される
雇用保険は、会社の正社員であれば自動的に加入することになり
ます。
パートタイマーなどでも、1週間の労働時間が20時間以上で雇用
期間が31日以上といった要件を満たせば、雇用保険の被保険者に
なります。
雇用保険の保険料は給料から天引きされていて、その額が給与明
細書の「雇用保険」の欄に記載されているので、自分が被保険者
かどうかは、給与明細書を見ればわかります。
■失業手当はいつ、いくら、どのくらいの期間受け取れる?
雇用保険の給付の中で、いちばん気になるのは失業手当ではない
でしょうか。
失業したとき給付が受けられるのは心強いですよね。
ただ、どんな手続きが必要で、いくらくらい受け取れるのかは
知らないという人が多いと思います。
ここで確認しておきましょう。
雇用保険の被保険者が離職した場合、失業手当として雇用保険の
「基本手当」が受け取れます。
勤め先の倒産や解雇など会社側の事情で失業した人だけでなく、
定年退職や転職などの自己都合で退職した人も対象となります。
基本手当が支給される条件は次のとおりです。
・離職している
・働く意思があってすぐに働ける状態にある
・自己都合の場合は、離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間
が通算12カ月以上ある
・会社都合の場合は、離職前の1年間に雇用保険の被保険者期間
が通算6カ月以上ある
就職せずに自分でビジネスを始める場合や、離職後しばらく休養
する場合などは、基本手当は受け取れません。
基本手当の1日当たりの給付額を「基本手当日額」といい、
基本手当日額=賃金日額×給付率 となります。
「賃金日額」は、離職の直前6カ月間に支払われた賃金(各種
手当を含む。賞与・退職金などは除く)の合計を180で割った
ものですが、年齢区分による上限があります(上限額は定期的
に見直されます)。
給付率は60歳未満の場合50~80%で、賃金が低いほど給付率が
高くなります。
離職前の平均の賃金が月15万円だと基本手当は月11万円程度、
賃金が月20万円だと基本手当は月13万5000円程度が目安です。
基本手当が受け取れる日数は、離職理由と雇用保険の被保険者
期間によって異なります。
会社都合には倒産や解雇のほかに、希望退職に応じた場合や、
勤務先が移転して通勤が困難になった場合、賃金が85%未満に
減少した場合、上司・同僚からハラスメントを受けた場合など
も含まれます。
契約期間が終わったとき希望したにもかかわらず契約が更新さ
れない、いわゆる「雇い止め」も会社都合となります。
離職理由が会社都合か自己都合なのかは、ハローワークが判断
します。
会社都合のほうが給付が手厚いので、転職のための離職でない
場合は、離職理由を具体的に説明するとよいでしょう。
基本手当が受け取れるのは原則、退職した翌日から1年以内なの
で、離職したらすぐにハローワークで手続きしてください。
病気やケガ、妊娠・出産・育児などですぐに働けない場合は、
手続きをすれば、受給期間を最長3年間延長できます。
■失業手当を受け取るまでの流れ
基本手当を受け取るには、住所地を管轄するハローワークへ
行って求職の申し込みをします。
その際、会社から受け取る「離職票」が必要です。
その後は、
ハローワークが受給資格を認定する
→手続きした日から7日間は待機期間(給付を受けられない)
→雇用保険受給者説明会・第1回の失業認定日の指定
→失業認定日にハローワークへ行き、失業の認定を受ける
→基本手当が振り込まれる
という流れになります。
自己都合による退職の場合は7日間の待機期間のあと、さらに
給付制限期間があり、この間は給付を受けられません。
給付制限期間は従来3カ月でしたが、2020年10月以降に離職
した人から2カ月に短縮されました(ただし、5年間に2回まで)。
手続きしてから手当の受け取りまで2カ月以上かかることに
なります。
ハローワークでの失業の認定と手当の振り込みは、再就職する
まで、あるいは基本手当の受取期間が終了するまで、原則とし
て4週間ごとに繰り返されます。
基本手当の給付日数を3分の1以上残して再就職したときは、
一定の条件を満たすと再就職手当が受け取れます。
■不正受給にはペナルティー
雇用保険の基本手当は、失業中で就職活動をしている人が対象
なので、4週間ごとの失業認定日には、前回の失業認定日以降の
求職活動の状況を報告する必要があります。
また、その間にパートやアルバイトも含めて仕事をした場合も
報告しなければなりません。
それによって得られた収入額が一定額以上だと、手当が減額され
ることがあります。
偽りの報告を行って手当を受け取った場合は、不正受給として
重いペナルティーが課されます。
■失業手当だけに頼らず、自分でも備えを
新型コロナウイルスの影響で経済の見通しが立たない中、倒産や
解雇など予期せぬ失業の可能性も高まっています。
そんなとき、雇用保険の基本手当は大きな支えです。
ただ、会社都合の場合でもすぐに手当が受け取れるわけではなく、
自己都合退職の場合は受け取りまで2カ月以上かかるので、その間、
収入がなくても生活できるだけのお金をためておかなければなり
ません。
また、基本手当の額は離職前の賃金より少ないので、転職のために
退職するときは、失業期間ができないように再就職先を決めてから
退職するのが望ましいといえます。
なお、公務員には雇用保険制度がありませんが、失業手当に代わる
給付があるほか、育児休業給付・介護休業給付は別の仕組みで
支払われます。
教育訓練給付金はありません。
フリーランスなども雇用保険に加入できません。
公的な支えがない分、自分で備えておく必要があります。