8月29日火曜日晴れ。涼しい方かな。
今日は、馬肉の日(勝手な命名)。
ハアハア、ハアハア
咳き込みながら夢を見た。
俺は暗闇の中で、
一人でトロッコを押していた。
いくら押しても「乗れ」の声は掛からない。
おかしいと思いながら強く押すと
トロッコは勝手に上り出す。
追いつこうと走るが追いつけない。
暗闇の中にトロッコは消えて行く。
ハアハア息が切れる。
待てぇー
目が覚めた。
また見てしまった、『トロッコ』の夢。
この寝室の所為かな。
60年前、正にこの部屋で
よく親父に読んでもらった
芥川龍之介の短辺小節『トロッコ』。
俺も妹も暗記するくらい
何度も何度も読み聞かされた。
それだけに何かの折に夢を見る。
主人公良平に成り代わって、
トロッコを押している。
小節と違って夕方から夜ではない。
夜、それも真っ暗闇。
家に走り戻る夢の時も、
家の灯かりなど見えず、
ただ暗闇の中を泣きながら走り続けるだけ。
何度も何度もトロッコの夢を見るなんて
馬鹿だよね。
他には何にもなかったのかって。
でも、不思議。
嫌だとか怖いとかいう感じはしない。
寧ろ落ち着いているんだ。
あんなに走っていたのに。
今日だって、
咳をしても然程苦しくは無い。
祖母や親父やお袋さんが
穏やかに見守ってくれているからかな。
みんな、この部屋から旅立たれたから。
俺もこの部屋から旅立つ夢を見たし。
死を意識し、現存在を考える。
何となくハイデガーの世界へ
紛れ込んじゃったのかな。
存在と時間。
現象学でどう説明するかな。
朝から哲学の よっちんでした。