私は四部作とか、起承転結とか兎に角 ”四”、 そして三島の “三” に纏わるもの

が好きなのです』 と、三島邸の薄暗い部屋で三島由紀夫が私に話して呉れたのだ。 

三島の遺作となった『豊饒の海』の、「春の雪」 「奔馬」 「暁の寺」 「天人五衰」 

は間違い無く四部作だ。

           

そして三部作としては、 2.26事件絡みの 「憂国」 「十日の菊」 「英霊の声」 がある。 

 

   【三島由紀夫の原作、脚本、演出、主演により映画化された”憂国”のCD

 

又、作品名としては、 1955年に発表された戯曲 「三原色」 がある、 この戯曲は

余り知られていないが、詩劇風一幕物で1963年に劇作家の堂本正樹リサイタルと

して東京草月ホールで初演された。

 

三島由紀夫が私に話した、と書いたが実は、此れは昨夜見た夢。 三島は私淑する

小説家なのだが覚えている限りでは、今迄三島由紀夫の夢を見たことは無い、しかし

何故か昨夜の夢はハッキリと覚えている。

そして、夢の中で三島が語った 「三」と「四」 が好きだと云う話は妙にリアルなので

今日のブログに書いた次第。


序で乍ら、「三」 絡みでは、三島由紀夫が19歳の時に、 駐仏大使の令嬢、三谷邦子

という、初恋の人がいた。 名著 『仮面の告白』 に登場する草野園子がその人だ。  

三島は21歳になった時、邦子との結婚を考えていたが未だ学生の身分だった事から

逡巡していた。 そんな中、邦子は別の男の元へ嫁いだのだった。

 

   

   【1949年7月初版 「仮面の告白」、 そして1973年1月初版 「わが思春期」】

 

しかし、三谷邦子のことは、短編小説 『夜の支度』 の頼子として、そしてエッセイ

わが思春期』にも登場する程だから、三島にとっては本当に初恋の人だったのだろう。

 

(参考文献:わが思春期/仮面の告白/夜の支度/豊饒の海四部作/2.26事件

        三部作/堂本正樹/倅・三島由紀夫/三島由紀夫研究年表)