三島が自決する3年前に彼自身が或るPR誌で“遮二無二長生き

しなければならない”そして“遮二無二生きる他ない”と結んで

いるのだ、 厳密な修辞法が好きな三島には珍しく二度も同じ

言葉“遮二無二”と書いているのだ、これは自死への欲求が徐々に

強まってきている自分自身に対する戒めなのかも知れない。

参考まで当該箇所を引用する、

 

『私も2,3年すれば40歳で、そろそろ生涯の計画を立てるべき時が

来た。芥川龍之介より長生きしたと思えば、いい気持ちだが、もう

こうなったら、遮二無二長生きしなければならない。古来の人間の

平均寿命は、青銅時代は18歳、ローマ時代でさえ22歳だったそうで

其の頃の天国は美しい若人で溢れていたろうが、この頃の天国の

景色はさぞ醜悪だろう。人間、40歳になれば、もう美しく死ぬ夢

は絶望的で、どんな死に方をしたって醜悪なだけである。それなら、

もう、遮二無二生きる他ない。』

 

(注)芥川龍之介は35歳で服毒自殺している