東京のお盆は7月13~16日で、過日私も参拝してきましたが、通常寺院にはお堂の前に
大きな香炉があり、お線香等の薫香でお参りの際に身体を清める為です。
閑話休題、
「枕草子」に“心ときめきするもの、良き薫物炊きて一人臥したる、髪洗い、化粧して、
香にしみたる衣着たる……”と、日本には昔から香を楽しむ文化がある訳ですが、
匂い袋や掛け香、最近のルームフレグランスやアロマテラピーもその一種。
日本で独自に発達した「香道」や又「源氏香の組香」等に用いられるのは香木だが、日本
には元来無い香木は6世紀に仏教伝来の頃東南アジアから持ち込まれたものと云われ
ています。
「栴檀は双葉より芳し」と云われる栴檀の一種に白檀がありますが、香道で使用されるのは
沈香で、湖沼に朽ち落ちた香木に草花の香りなどが長年に亘り付着吸収され樹脂状に生成
され、比重が重い為湖沼に沈んでいるものを探し出す訳です。
因みに東大寺正倉院には天下第一の香木と云われている「蘭奢待」(ランジャタイ)が収蔵
されており過去にこの香木は足利義満、義政、織田信長、そして明治天皇が切り取っている
所為で今残っているのは11kgsの木片となっている。
一方、香木以外では枕草子に書いてある薫物(練香)があり、香料粉末に蜂蜜や梅肉、甘鬘
炭、塩などを練り合わせ丸薬状にしたもの。これが平安時代に「薫物合わせ」として
流行したのです。 つまり日本の伝統的お香には香木と練香の二つがあるのです。