原発稼働ゼロ:政府、再稼働狙い外れ 大飯以降見通せず 1~5
※毎日jpのサイトより
http://mainichi.jp/select/news/20120506k0000e040127000c.html
政府は関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に続き、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働を視野に入れていた。だが、大飯原発の再稼働手続きに批判が噴出。当面、他の原発の再稼働は困難な状況にある。
「伊方原発までは再稼働させる。手続きが進んでいるのは大飯原発だが、地元の理解は伊方の方が得られやすい。伊方が大飯を追い越すことになるかもしれない」
首相官邸関係者は4月上旬、こう漏らしていた。大飯原発の再稼働をめぐり野田佳彦首相と藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相の関係閣僚会合が始まったばかりだった。
背景には、大飯原発の周辺自治体の姿勢があった。関電の筆頭株主である大阪市の橋下徹市長は再稼働に否定的な発言を繰り返し、京都府、滋賀県の知事も反発していた。
一方、政府は伊方原発の再稼働については愛媛県のほか、四国3県の理解を比較的得やすいと受け止めていた。瀬戸内海に面し、津波被害の懸念が少ないとされる事情も、大飯原発に比べて再稼働のハードルが低いとみていた理由だった。
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民主党内にも、大飯原発再稼働の是非を次期衆院選の争点にすると発言した橋下市長への反発があった。党内には「伊方を動かせれば、大飯は橋下市長のせいで再稼働できなかったということにしてもいい」との極論さえ出ていた。
しかし、伊方原発の再稼働論議はしぼんでいく。内閣府原子力安全委員会は3月、関西電力が昨年10月と11月に提出した大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)1次評価を「妥当」と評価したが、四国電力が昨年11月に出した伊方原発3号機の1次評価はたなざらし。政府が再稼働の「錦の御旗(みはた)」にしている原子力安全委のお墨付きを得られない状態だ。
さらに班目春樹委員長は「1次評価だけでは不十分。2次評価もやるべきだ」と発言。この発言を引用し橋下市長が政府批判を一層強め、伊方原発の再稼働を大飯原発と同じように進められる環境ではなくなった。
経産省原子力安全・保安院に代わり、安全性を審査する原子力規制庁の発足遅れも響く。規制庁の発足を待って伊方原発の再稼働を審査することになれば、「伊方の再稼働は早くて1年ぐらい先になる」(政府幹部)と見られている。
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原発の再稼働を主導してきたのは関係閣僚会合にオブザーバーとして加わっている民主党の仙谷由人政調会長代行だった。仙谷氏は伊方原発がある四国の衆院徳島1区選出。「再稼働しなければ経済がもたん」が持論で、昨年から枝野、細野両氏らと非公式の会合を重ねてきた。首相周辺は再稼働について「仙谷さんたちが半年以上検討し、その結果を踏まえたのは事実。マスコミ風に言えば(首相の)丸投げということかもしれない」と語る。
仙谷氏は東京電力の会長人事にも関わってきた。東電は柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働問題を抱えている。東電の新会長は4月19日に内定したが、政府が大飯再稼働を「妥当」と判断したのは4月13日。仙谷氏は、政府が原発の再稼働を認める姿勢を示しておかなければ、新会長の引き受け手はないとの思いがあったと見られている。
しかし、柏崎刈羽原発の再稼働の時期は見通せない。新潟県知事選が今年10月にあり、その前に政府が再稼働を判断することは政治的に難しい。仮に大飯原発が再稼働しても「2番手」以降が続く状況にはない。【
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◇規制庁、未発足の異常
「規制庁ができていれば、関係機関に説明しやすいのに」。政府が4月、原発再稼働の判断基準を示した直後、保安院の幹部はぼやいた。判断基準では、電力会社に中長期的な安全対策の実施計画の提出を求めているが、その内容を法律に基づいて点検し、指導する体制は未整備だ。東京電力福島第1原発事故を防ぐことのできなかった保安院と原子力安全委に代わる新体制が始動しない限り、原子力政策への信頼回復は難しい。
そもそも政府が再稼働の前提条件としていたのはストレステストの1次評価だ。1次評価は電力会社が結果を提出し、保安院と原子力安全委が確認する。現在までに8社が19基分の提出を終えた。
ところが、政府は再稼働の可否を政治判断するため、4月に突然、事故時の指揮・作業拠点「免震事務棟」の設置など時間のかかる実施計画の提出を求める新たな判断基準を導入。大飯原発3、4号機の再稼働を「妥当」と結論づけ、地元へ同意を求める段階に入った。残りの「再稼働予備軍」のうち、最も手続きが進んでいるのは、保安院による評価を終えた伊方原発3号機。それ以外は保安院が審査中だ。
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1次評価の審査は、4月から規制庁が引き継ぐはずだったが、発足は遅れ、保安院とともに3月末に廃止されるはずだった原子力安全委も存続している。班目委員長は4月以降の記者会見のたびに「(将来性のない組織では)議論できる状況にない」と語る。
城山英明・東京大教授(行政学)は「現行に代わる規制システムが整備されていないために、自治体や住民は政府が今回の事故にきちんと対応したと納得できないでいる。原発ゼロを招いたのは、政府が信頼を得られていないことの裏返しだ」と指摘する。
