こんにちは!
いかがお過ごしでしょうか?
U-CANに提出したお話が帰ってきました。
今回の課題は、4つのキーワード(男の子、女の子、赤い手袋、雪が降る)を組み込んだお話を創る、というものです。
良かったら、読んでみてください。
なくしたかわりに見つけたものは
ワタル小学校の三年四組に、すぐに真っ赤になる女の子、アイがいます。
目がくりくりっとした、とてもかわいらしい子なので、男の子たちは気になってしょうがありません。だからいつもちょっかいを出して、アイを真っ赤にさせていました。
そんなある日、男の子たちの一人、テツがなくしものをしました。
なくしたのは、赤い手袋です。仕事で忙しいお母さんが編んでくれた、大事な手袋です。
テツは、必死に探します。
下校するときに渡った橋、梅のつぼみを見つめた道の角、ゲームに見とれたおもちゃ屋さん。
でも、手袋は見つかりません。
最後に、友だちと遊んだ公園で探しましたが、そこでも見つかりません。
「どうしよう……」
テツの目に、涙がにじみます。こぼすまいと空を見上げると、雪が降ってきました。
「お母さん……」
テツは、お母さんに会いたくてたまらなくなりました。
「お母さん……」
こらえきれなくなった涙が目からこぼれて、次から次へと地面に落ちていきます。
その時。
「どうしたの?」
かわいらしい声が聞こえました。見てみると、アイでした。
「なんでもないよ!」
慌てて涙をぬぐってすべり台のところへ行きましたが、なぜか、アイがついてきます。
「あっちへ行け!!」
アイは、真っ赤になりました。それでも立ち去らず、心配そうに聞いてきます。
「どうしたの?何かなくしたの?」
「赤い手袋をなくしたんだよ!」
「そう」
アイは、だまって探し始めました。
結局、赤い手袋は見つかりませんでした。
でも、家へと帰るテツの左手には、黄色い手袋がはめてあります。アイが、片方を貸してくれたのです。雪はまだ降っていたけれど、テツの心は、ぽかぽかと温かでした。
次の日。教室で、テツの友だちがいつものようにアイにちょっかいを出し始めました。
テツは、大声で言います。
「それよりも、サッカーをしようよ!」
「いいねえ」
「行こう行こう!」
それからは、アイが真っ赤になることは、ありませんでした。