悪臭を放つ両足拭いたなら
君は私の我だけのもの
オレはハエ。
くっさいくっさい足が大好きさ。
ああ、そうさ。
くっさい足はオレの生きがい。
オレはくっさい足を求めて旅をしているんだ。
でも毎日出会えるわけじゃない。
時には何日も出会えないこともある。
人生、良いことばかりじゃないってことなんだろうな。
でも今日は幸運だった。
この足に出会ったからな。
この足の良いところは、何といっても、この微妙な匂い。
健康的とも言えないし、病的とも言えない。
油のようなぞうきんのような、とにかく微妙な、ある意味強烈な匂い。
ああ、オレはこの匂いを、ずっと探し求めていたんだ。
オレはキリスト教徒でも仏教徒でもないが、出会ったときは思わず神さま仏様に感謝したね。
もう、一目惚れならぬ、一鼻惚れさ。
だからオレは決めたんだ。
一生この足についていく。
あれ?
あ!
ヤバイ!!
タオルが来やがった!
ああ~やめてくれ、ふかないでくれ!
オレの大事な足が~。
・
・
・
なんてことだ・・・。
あんな貴重な匂いを消し去ってしまうなんて。
濡れタオル、恐るべし・・・。
まあ、いいさ。
オレは旅人。
またくっさい足を求めて旅をするのさ。
なあ、足。
おまえいい奴だったよ。
またどこかで会えるといいな。
元気でな。
