ドシンッ!!
「あいたたた・・・。」
ある日、キリンはしりもちをつきました。
キリンはおもたいので、地面に穴ができ、地球にヒビがはいりました。
キリンが
「おやおやおや。」
と言っている間にそのヒビは広がって、
「キャー。」
と言っている間にキリンは地球の中をとおって、
「あれえー。」
と言っている間に地球の反対側にポンッと出ました。
キリンは頭がくーらくら。
「ここはどこ?」
とあたりを見まわすと、たくさんの人たちがゆうらりゆうらりうごいています。体を右に左に、ゆっくりゆらしながら歩いているのです。
近くの人に、
「ここはどこ?あなたたちは何をしているの?」
と聞いてみると、
「ここはオサンポオウコク。もうすぐ大会だから、おさんぽのれんしゅうをしているのさ。」
と言われました。
「オサンポオウコク・・・。おさんぽ・・・
大会・・・。ボクもやってみたい!」
キリンの瞳はきーらきら。さっそくおさんぽきょうしつにかよいはじめました。
「い~ち、に~い、さ~ん。い~ち、に~い、さ~ん。」
先生のかけごえに合わせて、キリンはゆうらりゆうらりおさんぽします。
「あ~らキリンさん、首をのばしてぇ。体も大きくゆらしてねぇ。」
「はい、先生。」
い~ち、に~い、さ~ん。い~ち、に~い、さ~ん。
キリンは、汗をかきかきれんしゅうします。
だって優勝したいですから!
「あ~らキリンさん、よくなってきたわよぅ。」
先生がほめてくれました。
今日は大会の日。
青空にぽーんぽーんと花火が上がります。たくさんの人たちが優勝めざしてやってきています。もちろん、キリンもです。
みんな、いろんなかっこうをしています。ドレスをきている人、大きなぼうしをかぶっている人、そしてフリルのついた水着をきている人もいます。キリンはというと、バラのもようの浴衣を着て、真っ赤なハイヒールをはいています。
どきどきどきどき。
キリンは優勝できるでしょうか?
ピー!!
笛のあいずをきっかけに、体を右に左にゆらして、選手たちはゆうらりゆうらりおさんぽを始めました。
すごくゆっくりおさんぽする人もいれば、ちょっと早めにおさんぽする人もいます。キリンはハイヒールをはいているので、
カツン、ゆうらり、コツン、ゆうらり。
キリンはできるだけゆっくりと、体をゆらしておさんぽします。キリンはたんぽぽをいくつもらえるでしょうか?
カツン、ゆうらり、コツン、ゆうらり。
一人のしんさいんがたんぽぽをくれました。しばらくすると、ほかのしんさいんもくれました。そしてまた、ほかのしんさいんもくれました。
キリンがもらったたんぽぽの数は、一本、二本、五本、十本・・十二本!
キリンの優勝です!
「おめでとう!トロフィーをどうぞ。」
パチパチパチパチ。
キリンは、はくしゅをされてトロフィーを頭にかぶせられました。
このとってもすてきなできごとに、キリンの頭はくーらくら。
そして立っていられなくなって、ドシン!しりもちをついてしまいました。
するとどうでしょう!
キリンはおもたいので、地面に穴ができ、地球にヒビがはいりました。
キリンが
「おやおやおや。」
と言っている間にそのヒビは広がって、
「キャー。」
と言っている間にキリンは地球の中をとおって、
「あれえー。」
と言っている間に地球の反対側にポンッとでました。
キリンの頭はくーらくら。
あたりを見まわすと、そこはキリンが生まれ育ったばしょでした。もどってきたのです。
いつの間にか、たんぽぽや浴衣はなくなって、キリンはトロフィーとハイヒールだけになっていました。
それでもキリンはにーこにこ。
「優勝しちゃった。うふふふふ。」
うれしくなってダンスしました。
その後、キリンはどうなったでしょうか?
もちろん、おさんぽしていますよ。トロフィーをかぶってハイヒールをはいて。
カツン、ゆうらり、コツン、ゆうらり。
キリンは、今ではとっても有名になっています。そして、みんなから『おさんぽキリン』とよばれてます。
そうそう、おさんぽをしているのはキリンだけではありませんよ。
ゾウやワニ、シマウマや、そのほかのいろんな動物たちもおさんぽをしています。おさんぽキリンにあこがれて。
こんどひまな時、ここに来てみてください。ゆうらりゆうらりおさんぽをしているキリンたちに会えますよ。