この星の桜の花の花びらの
数を超すほど好きと言いたい
私は公園の桜でございます。
名をカナエと申します。
ただいま、片思いの真っ最中でございます。
恋のお相手は、ほら、あそこにいらっしゃる、すべり台様でございます。
あら、なぜそんなにびっくりなさるのでしょうか?
身分が違いすぎるとでもおっしゃるの?
そんなことはよく分かっております。
あの方に私なんかが釣り合わないことくらい。
すべり台様はほんとうに凛々しくて、お天気のいい日はピカピカおひかりになって、見つめていられないくらいですのよ。
その上とても人気者で、毎日お子様たちに囲まれているのです。
ああ、私もすべり台様の近くに行ってみたい。
両想いになんて、なれないことは分かっております。
あれほどの方ですもの。
どなたかがいらっしゃるに決まっております。
ただ、お慕いしていることだけお伝えできれば、それでいいのです。
