都会の帰宅ラッシュの地下鉄の構内でU先生に電話をした。
その光景は今でも鮮明に覚えている。
何事もなく、日常を終え、帰路に着こうとしている人達に紛れて
私は、何気ない日常からはかけ離れた、物凄く長い1日を過ごしていた。
朝から色々な感情、情報が渦巻き、迷い迷って、私たち夫婦がした決断。
後悔したくないから。
1%でも、可能性があるなら、準抗告をしたい。
そのためにもう一度私選弁護人をつけることにした。
依頼したいと聞いたU先生は、少し戸惑いながらも、
全力で応えようとしてくれているのは、すぐに伝わった。
もう時間も19時近かったが、
弁護士の先生は、面会は20時まで可能との事で、
すぐに鑑別所へ、本人に会うため、初回接見へ向かってくださった。
私も一旦自宅に戻った後、主人と共に、初回接見が終える時間をめどに、
U先生の事務所へと高速を走らせた。
正しい選択かは分からない。
自己満足なのかもしれない。
でもやっぱり、後悔したくなかった。
息子の人生が、少しでもやり直しが、ききやすいように。
1番ベストとはいかなくても。
ベターな環境を作ってあげるために。
甘いのかもしれない。
自分のした事の代償なのかもしれない。
でも私達は息子に、普通の高校生活を送り、青春を取り戻してほしかった。
欲を言えば、息子の将来、未来が、幸せであってほしかった。
だって私達はあの子の親だから。
悪い事をした息子でも、やっぱり、親だから。