ちょうど桜の季節だった。


国選弁護人の事務所からの帰り。


事務所の最寄駅周辺では、桜まつりが開催されていた。


天気も春らしく、暖かくて快晴だった。


桜が咲いている川沿いに屋台が沢山出ていたり、


クルーズ船が走っていたり。


家族連れや、恋人同士、友人同士。


沢山の人で賑わっていた。


私の置かれている環境、心境とは正反対の光景だった。


息子と同じくらいの歳の子達が友達と楽しんでいる。


息子はこの週末、あの無機質な施設の中で、


どんな風に過ごしたんだろう。


今何を考えているんだろう。


切なくて胸が苦しくなった。


当たり前なんだけど、


世の中の時間は普通に流れている。


皆んな楽しそうで幸せそうな顔をしていて、


羨ましく思えた。


「普通の日常」を楽しめているだけで、


羨ましくて仕方なかった。


(本当のところは誰にもわからないんだけど....)


クルーズ船をボーッとしながら、何本か見送り、帰路についた。