選任された国選弁護人の事務所。
息子の手紙の住所に辿り着いた。
都会のオフィス街のビルだった。
小さいけれど、綺麗なビルの一室に事務所を構えているようだった
やはり日曜日という事もあり、ビルの入り口自体に鍵がかかっており、ポストにも辿り着けない。
でも、せっかく足を運んだのだから、足跡は残しておきたかった。
こちら側がどれだけ切羽詰まっているか。
どれだけ弁護人と連絡を取りたがってるかの足跡を。
ビルの入り口に、インターホンがあったので、正直どのテナントに繋がるのかわからなかったけれど、数回鳴らしてみた。
反応なし。
諦めて帰ろうかと思ったその時。
老夫婦が少し迷惑そうな表情で現れた。
どうやらこのビルのオーナー夫婦で、こちらに住んでいるよう。
ここの弁護士事務所と連絡を取りたくて来たと伝えた。
必死さを察知してくれたのか、先程の迷惑そうな表情からは打って変わり、
鍵を開けてくれて、集合ポストのあるロビーへ案内してくれた。
日曜日なので、やはり不在とのこと。
ポストに、訪問しましたという手紙だけ、入れておく事にした。
走り書きで、また週明けに連絡する旨記入し、投函した。
勾留に代わる観護措置が取られてから、すでに4日経過していた。
早く国選弁護人に会って、準抗告の手続きをとっていただきたく、その相談をしたかった。
翌日から新学年が始まる新学期が始まる。
私はとても焦っていた。