以前に拙ブログでも取り上げた「日本の人口減少」に関する話題です。

 

 

2021年12月20日に総務省統計局が発表した2021年12月1日現在の日本の人口推計(上の表)と 2020年12月1日現在の人口推計(下の表)の「概算値」を並べてみました。

 

 

 

総人口は62万人減少とありますが、これは在留外国人を合わせた減少数字です。

 

 

日本人人口については、1億23352千人から1億22928千人を引いた42万4千人が20年12月~21年12月までの1年間の日本人人口の減少数字のようです。

 

 

在留外国人人口の減少が約20万人であったということになるようで、東日本大震災のときの人口の「社会減少」に匹敵する数字と言えそうです。

 

 

■日本の人口減少のこれまで

「平成23年は東日本大震災等の影響で例年とは違う傾向で、人口は前年に比べ25万9千人の人口減少だった」と表現されています。

 

 

2011年(平成23年)の東日本大震災のときの犠牲者の人数は12都道県で2021年(令和3年)3月10日時点で、1万5899人とされ、震災後の避難生活のストレスなどによる災害「関連死」認定された方々も10年間に3775人おられるようですが、これらの数字よりも日本の総人口の減少に大きく影響したのは「人口の社会減少」の方でした。

 

 

平成23年の人口減少の主な要因は在留外国人の大幅な流出と、流入人口の大幅な減少という「社会減少」が主な要因だったようです。

 

 

これを総務省が「例年とは違う傾向」と表現しています。

 

 

 

■2019年まで外国人人口は7年連続の「社会増加」で、一方で日本人人口は減少

実は日本の人口の「自然減少」が毎年30万~40万人規模起こっています。少子高齢化社会を反映したものです。

 

 

日本人人口の「自然減少」を外国人人口の「社会増加」で穴埋めしてきたというのが実態で、実は日本人人口そのものは以前から減少し続けています。

 

 

例えば、令和2年8月現在の総人口の減少幅は29万人であるのに対し、日本人人口は53.4万人も減少しており、在留外国人人口の増加によって減少幅が見かけ上縮小されていたかっこうです。

 

 

 

■令和2年と令和3年の日本人人口の減少数字に関して

令和2年(2020年)8月と令和3年(2021年)8月の人口を前年同月と比べた数字では、日本人人口そのものが2年連続で50万人以上の大幅な減少だったと推計されていました。

 

 

 

総務省が出しているこれまでの日本の総人口と日本人の総人口(人口推計)データーは以下の様な数字です。

 

 

令和3年8月現在、前年同月より51万人(0.4%)減少、内、日本人人口の減少は51万人

令和2年年8月現在、前年同月より29万人(0.23%)減少、内、日本人人口の減少は53.4万人

令和元年8月現在、前年同月より26万人(0.21%)減少、内、日本人人口の減少は44.5万人

平成30年8月現在、前年同月より27万人(0.21%)減少、内、日本人人口の減少は39.3万人

平成29年8月現在、前年同月より21万人(0.16%)減少、内、日本人人口の減少は34.1万人

 

以上の数字は区切りが8月であって、年間の数字ではなく、例えば令和2年8月~令和3年7月などのように8月で比較している数字です。

 

■COVID-19下で2020年の冬季のインフルエンザ関連死は大幅に減少??

コロナ対策で日本人の一人一人が日常的にマスク着用や手洗いうがいの徹底などのウイルス感染予防を行ったことで、2019年の冬季よりも2020年冬季のインフルエンザ関連死などが大幅に減ったことは注目すべき事象でした。

 

 

例年1000万人といわれるインフルエンザ感染者数そのものも100分の1以下だったようです。(但しこれは今シーズンの2021年8月からこれまでの数字ではありません)

 

厚生労働省は毎週、全国のインフルエンザ患者数を公表しています。

 

それによると2020年8月31日〜11月29日の13週間の患者数は263人です。

 

昨年(2019年)同期は9万8279人でした。昨年に比べて99.7%も減少しているのです。

 

昨シーズンは早い時期から感染が増えたため、11月4日の週(45週)から流行シーズンに入りましたが、今シーズンは週ごとの報告数が100分の1以下なのです。

引用元:

 

 

インフルエンザの年間の平均推定感染者数は約1000万人で、冬季には高齢者1万人がインフルエンザ関連死(インフルエンザが直接的に引き起こす脳症や肺炎のほか、2次的に起こる細菌性の肺炎、また、呼吸器疾患や心疾患といった持病の悪化など、間接的な影響によって死亡した人の数も含まれる)、年間約10万人が肺炎で亡くなっているようです。

 

 

引用元:

 

 

2020年のインフルエンザ感染者数の減少、「インフルエンザ関連死」の減少はCOVID-19下での良い副産物でした。

 

 

今年はインフルエンザが流行するなどとメディアが煽っていましたが、恐らく、2021年の冬季も同様の予防効果が働いているのではないでしょうか。

 

 

■令和3年8月と令和元年8月の比較

令和3年(2020年)8月現在と令和3年(2021年)8月現在の日本人人口の減少数字を比較すると、2020年(令和2年)の8月現在の前年同月の減少が53万人であったのに対して、2021年(令和3年)の8月現在の前年同月よりの減少は51万人と推計されていました。

 

 

つまり、日本人人口の減少幅がむしろ縮小しています。この結果は2021年の出生数の大幅な減少とは相反することに思えます。

 

 

 

■62万人の人口減少、日本人人口は42万4千人減少、外国人人口は20万人減少

 

約20万人の在留外国人の減少は、帰国者などの流出人口の増加の一方、防疫のための水際対策によって海外からの(留学生や技能実習生などの)流入人口が大幅に減少したことによる「社会減少」などの影響でしょうか。

 

 

日本人人口だけをみると、42万2千人の減少のようです。

 

 

今回の人口推計データー全体のデーター

 

2021年12月1日現在の日本の総人口(概算値)は1億2547万人、内、日本人人口は1億2292万人と推計。

 

令和3年12月1日の前年同月と比べた日本人人口の減少は42万4千人。

 

 

これはコロナ以前の令和元年の数字(44万5千人)と大差がありません。

 

 

これから何がうかがえるでしょうか。

 

 

■総務省統計局のデーターでは日本人人口の減少は例年並みだった?

2020年1月~2022年1月12日現在までのコロナ死とカウントされている数字は1月12日現在までの累積数が1万8403人。しかしこれは約2年間の合計の数字です。

 

 

単純計算で年間で9千人となりますから、「コロナ死者数」の数字そのものは、日本では人口に大きな影響を与えるほどのものではなかったといえます。

 

 

 

■出生数は大幅に減少

新型コロナウイルス感染そのものよりも、「COVID-19」による社会の変化などで様々な影響があったことはいえそうです。

 

 

例えば厚労省によれば、2020年の出生数の数字は、前年度比4.7%減の85万3214人だったそうですが、2021年の出生数は第一生命経済研究所の試算では、更に76万9千人まで落ちこむとみられているそうです。

 

 

試算の通りならば、2020年よりも2021年の出生数が8万4千人も減少し、新生児の人口が大幅に減少したことになります。

 

 

コロナの影響で2020年度の婚姻数は19年度と比べて16.1%も減少し、それに伴い出生数が減少。人口の「自然増加」が8万人超も減ってしまったようです。

 

 

出生数が大幅に減少したにもかかわらず、日本人人口の減少数字は令和3年の減少数字(42万4千人)の方が令和元年の減少数字(45万5千人)より小さかったようです。

 

これは実測値ではなく「概算値」を元にした議論でしかありませんが、

 

 

「自然減少」(高齢人口の死亡者数など)の減少幅がむしろ縮小し、「自然増加」(出生数)の減少幅(約8万人)は拡大し、トータルでは日本人人口の減少幅は令和元年より令和3年の方が小さかった、ということなのでしょうか。

そうであるならば、少子高齢社会の逆プラミッド構造は益々加速することになります。

 

この推計値を解釈するならば、例えばウイルス対策の強化によって、2020年8月から21年8月までのインフルエンザ関連死などの大幅な減少の効果なども一要因として挙げられるかもしれません。

 

 

参考:

 

 

 

■オミクロン株は恐れ過ぎず、警戒は緩めず
コロナ対策で国民に侵透した「ウイルス対策の習慣」は例年1000万人規模のインフルエンザ感染者数を100分の1に下げたということ、これはCOVD-19で唯一のベネフィットだったといえます。

 

 

オミクロン株は感染力が高いと言われていますが、予防の基本はこれまでの2年間に生活に侵透した習慣を地道に一人一人が守る以外にありません。

 

 

重症化に関しては南アのデーターなどで、恐れるほどではないとの指摘も出ていますが、警戒は緩めず、自然免疫を高める生活で乗り切りましょう。

 

 

参考: (meganeさんがご紹介し下さった南アでのオミクロン感染についての文献です)

 

 

米国の2018年~2019年のインフルエンザと2021年12月までのオミクロン株を比較した動画です(同じくmeganeさんからのご紹介です)

インフルエンザの方がオミクロン株よりも、入院率(1.31%>0.15%)、死亡率(0.0966%>0.0017%)ともに高く、ミクロン株が通常の季節性インフルエンザほど重症肺炎にならないことがこの数字からも伺えそうです。

 

 

国立感染研「SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統(オミクロン株)について(第5報)」より

オミクロン株は、ワクチン接種や自然感染による免疫を逃避する性質が、遺伝子配列やラボでの実験、疫学データから示唆されている。ワクチン 2 回接種による発症予防効果がデルタ株と比較してオミクロン株への感染では低い可能性が示されている。

 

3 回目接種(ブースター接種)により、オミクロン株感染による発症予防効果が高まる可能性が示唆されているが、3 回目接種からの日数が数週間程度と非常に短い者におけるデータであるため、中長期的にこの効果が持続するかは不明である.

 

日本政府による水際対策の強化は2月末まで引き続き延長されるとのことで、これは当分の間は続けて頂きたいです。

https://corona.go.jp/news/pdf/mizugiwataisaku1_20220111.pdf