7月21日(金)六甲高山植物園訪問記の続きです。

 

ビニールハウスで食虫植物の展示を見ました。

 

 

食虫植物を世界に初めて広めたのは、イギリスの生物学者チャールズ・ダーウィン(1809~1882)と言われています。ダーウィンは1875年に『食虫植物』という本を出版し、その中でモウセンゴケ、ハエトリソウなど多くの食虫植物を紹介しました。

 

 

最初に見たのがモウセンゴケ。葉の表面に腺毛(粘液を出す毛)がたくさん生えていて、そこからネバネバの粘液を出します。

 

 

虫の取り方はねばりつけ式。においや色に誘われてやってきた虫をたくさんの腺毛で押さえつけて動けなくした後、消化液を出して虫の体を溶かしてしまいます。

 

 

次にピグミーモウセンゴケ。小型のモウセンゴケという認識でOKですが…。

 

 

美しい花を咲かせ、ムカゴの媒介により増えていきます。

 

 

その次はウツボカズラ。

 

 

虫の取り方は落とし穴式。葉の先の虫を取るための袋を「捕虫のう」と言い、そこに虫をおびき寄せて中に落とし、消化・吸収してしまいます。

 

 

補足その1。地面の近くにできる捕虫のうには、アリなど地面を這う虫が登れる階段があり、空中にぶら下がるようにできる捕虫のうにはありません。

 

 

補足その2。雌花と雄花が別の株に咲く「雌雄異株」で、雄花と雌花が離れて咲くことにより、自家受粉(自分の花粉が自分の雌しべについて受粉すること)を避けています。

 

 

そしてセファロタス。別名「フクロユキノシタ」とも呼ばれています。

 

 

虫の取り方は落とし穴式。地面の近くに壺のような捕虫のうをたくさんつけてアリなどの虫を待ち伏せ。他の食虫植物と違って、捕虫をしない緑色の葉もつけています。

 

 

その次はムシトリスミレ。「スミレ」という名前がついていますが、スミレの仲間ではなく、タヌキモ科に属します。

 

 

虫の取り方はねばりつけ式。葉と茎の表面に隙間なく生えている腺毛から粘液を出し、捕まえた虫は葉や茎から吸収。ネバネバ、ベトベト、粘りついて放しません。

 

 

その次はムジナモ。牧野富太郎博士が新種記載した種で、フサフサした見た目をムジナ(タヌキやアナグマのこと)に見立てたことに由来します。

 

 

虫の取り方ははさみこみ式。水の中を漂う根無し草で、ハエトリソウのように二枚貝状の葉を持っていて、葉に触れたプランクトンを挟み込んで捕まえます。

 

 

その次はミミカキグサ。花が終わった後の実とガクの形が耳掻きに似ていることから命名されたとの事。地下茎に捕虫のうがあり、そこから湿地に住む微生物を捕まえて栄養を吸収します。

 

 

そして、お皿の上に鋭くとがった2本のかぎ爪。その見た目から「悪魔の爪」と呼ばれるこの物体の正体は、イビセラ・ルテアという食虫植物の果実です。

 

 

虫を捕るのは葉や茎。無数の腺毛からべとべとした液を出します。

 

 

ビニールハウスの外にも、食虫植物の展示がありました。

 

 

まず始めにサラセニア。虫の取り方は落とし穴式。筒のようになった捕虫葉で虫を捕まえます。蜜に誘われてやって来た虫が捕虫葉に落ちると、二度と這い上がれません。

 

 

捕虫葉の内側には入口とは反対向きに毛がびっしりと生えていて、外へ出ようともがくうち、虫は奥へ奥へと進行。やがて力つきた虫は、捕虫葉の底にたまった消化液で溶かされて吸収されます。

 

 

次にハエトリソウ。虫の取り方ははさみこみ式。開いた葉の内側から虫を誘う蜜が出ていて、その葉の内側にはトゲが両側に3本ずつあり、そこに2回触ると葉がすばやく閉じます。

 

 

その速さはなんと0.5秒!1回だと虫以外の物を間違えて挟んだり、獲物を取り逃がしたりする可能性があるため、必ず2回目で閉じます。

 

 

食虫植物の効果もあってか、植物園なのに虫が全くいなくて快適に過ごせました。

 

 

次に続きます。