王子動物園内動物科学資料館で見た「天津・神戸友好都市50周年特別展」の続きです。

 

 

  動物交流について

 

天津市と神戸市は、1976年7月から動物交流を始めました。展示室の資料によると、王子動物園は天津動物園へ雄のキリンを送り、タンチョウとオオヤマネコをそれぞれつがいで受け取ったようです。

 

 

天津動物園のキリンが雄1頭では繁殖しないので、翌1977年、王子動物園は追加で雌のキリンを送りました。

 

 

なお、1976年に天津動物園から来日したタンチョウは、約1年半で繁殖に成功しています。

 

 

1980年、天津動物園にてシロミミキジとクロハザルの贈呈式が開かれました。

 

 

1981年、王子動物園はポートピア博開催のため、ジャイアントパンダのつがいを半年間借受。2頭はそれぞれ「ロンロン♀」と「サイサイ♂」の愛称で親しまれました。天津動物園パンダ館では、2頭の帰国を祝う垂れ幕が掲げられたそうです。

 

 

1983年、王子動物園は、天津動物園からレッサーパンダ、ミミキジ、アオミミキジをそれぞれつがいで受取。

 

 

1984年、王子動物園は、天津動物園からカカバのつがいを受取。

 

 

同年、天津動物園との友好動物園提携式が行われました。

 

 

少し飛んで1991年。王子動物園と天津動物園の間で種の保存のための交換が行われ、王子動物園は、雌のアムールトラを受取。レンレンの愛称で親しまれました。

 

 

同年、王子動物園は天津動物園から雌のマヌルネコも受け取っています。

 

 

1992年、日中共同飼育研究のため、北京瀕危動物訓練繁殖センターからキンシコウのつがいを借受。翌1993年から一般公開が始まり、2頭はそれぞれ「チャンチャン♂」「ウェンウェン♀」の愛称で親しまれました。

 

 

翌1994年に雌1頭を追加。その後、繁殖個体「ユウユウ♀」「リンリン♀」が北京瀕危動物訓練繁殖センターに返還されました。

 

 

そして1999年に「ケンケン♂」「タイホウ♀」を借受。2004年、日中共同飼育研究期間満了のため、「ケンケン♂」「リュウリュウ♂」「ウェンウェン♀」が返還されました。

 

 

また、1994年に王子動物園は、天津動物園からウマグマのつがいを受け取っています。それぞれ「ポー♂」「マー♀」の愛称で親しまれました。

 

 

そして2000年、日中共同飼育繁殖研究のため、王子動物園は臥龍繁殖センターからジャイアントパンダのつがいを借受。2頭はそれぞれ「コウコウ♂」「タンタン♀」の愛称で親しまれました。

 

 

ところが2頭は相性が悪く、2002年にコウコウを返還。2代目を迎えて2008年、待望の赤ちゃんができたものの、3日間で死亡。そして2代目コウコウは2010年に他界しました。

 

 

以降、王子動物園のパンダ舎には、雌のタンタンが一匹で暮らしています。

 

 

  中国の野生動物たち

 

中国は日本の隣の国で広さは日本の約25倍もあり、高い山から広い平野、深い谷や大河など地形は様々で、雪と氷の寒帯から砂漠や熱帯まで気候も様々です。

 

 

そのため、タヌキやスズメなど日本でも見られる動物から、ワニやトラなど日本では見られない動物まで、多種多様な動物が生息しています。ここでは、中国の野生動物たちを絶滅する可能性があるかどうかで分類してみました。

 

 

その前に、IUCN(国際自然保護連合)が定めたランク表について。一般的に「絶滅のおそれのある野生動物」とは、特に絶滅の危機が高いとされる3つのカテゴリー(近絶滅種、絶滅危惧種、危急種)にランクされている野生動物のことをいいます。

 

 

近絶滅種

 

ヨウスコウワニ(爬虫類/ワニ目/アリゲーター科)

中国固有種で長江下流域に生息する。温帯域に現生する唯一のワニで、貝類や魚類などを食べる。

 

 

絶滅危惧種

 

アムールトラ(哺乳類/食肉目/ネコ科)

シベリア、中国東北部に生息する。野ウサギや鳥などの小型動物や、牛などの大型動物を捕食する。虎はネコ科の中で最大で、その中でも北方の寒い地域に生息し、最も体格が大きい亜種である。単独で生活する。

 

 

キンシコウ(哺乳類/霊長目/オナガザル科)

中国四川、甘粛省の高地森林に生息する。葉や果実、種子などを食べる。群れで生活する。

 

 

コウノトリ(鳥類/コウノトリ目/コウノトリ科)

中国東北部地域、アムール、ウスリー地方で繁殖し、中国南部で越冬する。日本の個体群は一度絶滅したが、中国やロシアから再導入し繁殖・野生復帰に取り組んでいる。魚や昆虫を食べる。ペア、または単独で生活する。

 

 

レッサーパンダ(哺乳類/食肉目/レッサーパンダ科)

中国南部亜高山の森、竹林に生息する。果実、竹、昆虫、小動物などを食べる。単独で生活する。

 

 

危急種

 

ウンピョウ(哺乳類/食肉目/ネコ科)

インド北西部から東南アジア、中国南部にかけての高地森林地帯に生息する。猪や鹿、鳥などを食べる。単独で生活する。

 

 

オナガキジ(鳥類/キジ目/キジ科)

中国中央部の山地森林に生息する。茎や種子、昆虫などを食べる。

 

 

ヒマラヤグマ(哺乳類/食肉目/クマ科)

東アジア、南アジア、東南アジアに生息する。木の実や果実、昆虫などを食べる。単独で生活する。

 

 

ユキヒョウ(哺乳類/食肉目/ネコ科)

中央アジアの標高2000~6000mの高地に生息する。高地の岩場に生息し、猪や鹿、野ウサギなどを捕食する。単独で生活する。

 

 

近危急種

 

シロミミキジ(鳥類/キジ目/キジ科)

中国青海、四川、雲南などの高地の密林に生息する。種子や穀類、昆虫などを食べる。

 

 

低危急種

 

キンケイ(鳥類/キジ目/キジ科)

中国中央部の山地の密生した低木林に生息する。種子や穀類、昆虫などを食べる。

 

 

ギンケイ(鳥類/キジ目/キジ科)

中国南部、ミャンマーの一部に生息する。種子や穀類、昆虫などを食べる。

 

 

ベニジュケイ(鳥類/キジ目/キジ科)

チベット南東部、中国雲南省、四川省、陳西省、ベトナム北部に生息する。茎や種子、昆虫などを食べる。

 

 

ちなみに、WWF(世界自然保護基金)のシンボルであるジャイアントパンダもかつては絶滅危惧種でしたが、生息地の保全活動により、現在は危急種にランクダウンしています。

 

 

最後に感想。ジャイアントパンダなど絶滅のおそれのある野生動物は、群れを作らず単独で行動する種が多いように思えました。

 

 

つづく