風の教会から徒歩3分。六甲スカイヴィラ迎賓館(現:六甲山芸術センター)に到着。
建物には「See Saw Seeds Distance ROKKO CHANG PONG」と書かれたのぼりが掛かっていました。
「See Saw Seeds」は、神戸のC.A.P.(特定非営利活動法人 芸術と計画会議)、フィンランドのビデオカフェ、ドイツのギャラリーヘロルドのいずれかに所属するアーティスト44名で構成された、巨大アート集団。
12のキーワードを出発点に、44名のアーティストがごちゃ混ぜになって制作。解説者は、そのごちゃまぜ感が「ちゃんぽん」のようだと言っています。
廃業したホテルをまるまる展示室として活用。各部屋に1つずつテーマが割り当てられています。5階から見ました。
3501号室のテーマは「妄想道具」。
それぞれの国でありふれた日用品を送り合い、何をするものか、どうやって使うかを妄想し、新しいオブジェに変身させる、とても面白い試みです。
爪楊枝でできたスタンプ
猫よけでできたスマホ保護ケース
日本からは、後ろ向き思考矯正反転器。
精霊捕獲装置など。
窓ガラスに拡大鏡。漫画チックな山の絵がわざとらしく、ぷっと吹き出してしまいました。
3502号室のテーマは「人間」。部屋に入った瞬間、若い男性の石像が目につきます。
ベッドに横たわっているのは恋人。おそらく男女の営みを表現しているのでしょう。
机の上にも人間の像。どれも干からびているのが気になります。
そして机の下にどくろ。私には自殺者の部屋にしか思えませんでした。
一方、壁の絵は生き生きとしています。
人
人
人!とにかく人がいっぱいでした。
3503号室はクイズの部屋。
アーティストのプロフィールを読んで、誰が作ったのか当てるクイズです。
作家の名前すら知らないので、このクイズはお手上げ。
問題がマニアックすぎます。
というわけで、クイズは解かずに退室。
また、それぞれの階の奥に「森」をテーマにした作品がありました。
そして階段の踊り場にニット作品。
タイミングが合えば、制作の様子を見れるそう。
3401号室のテーマは「数」。入った瞬間、体重計に乗せられた楠の大木が目につきます。
片方が93kg。
もう片方が98kg。楠の大木は191kgあります。
壁には西暦をプリントした作品。おそらく、ある建物の設立年でしょう。
3402号室のテーマは「希望」。
黄色い部屋は、インスタグラムの#hoperoom2021のための撮影スポット。
オブ字絵「HOPE」は朝鮮・李朝時代の民藝、いわゆる李朝民画の文字絵から着想を得たそう。
3403号室のテーマは「石」。ベッドの上に置かれています。
部屋の片隅に机。前に鏡があり、ホテルだった頃は化粧台の役割も兼ねていたよう。
机の上にダイス。
壁に遊び方の説明がありました。
階段の踊り場にニット作品。3階に向かいます。
3301号室のテーマは「布」。大きな窓に綺麗なカーテンがかかっています。
机の上にあるくまの人形は、「記憶の中の人々」。
よく見るとそれぞれに名札があり、作者が留学先で知り合った人たちの名が記されています。
3302号室のテーマは「紙」。部屋に紙袋がいっぱいです。
窓際に雲を形どったアート作品。
こちらは作家の全身像でしょうか?
画鋲で止められたチリ紙。
床に置かれた冊子。
紙でできたアート作品。私には龍の顔に見えます。
3303号室のテーマは「周波数」。
周波数とは、エネルギーの波が1秒間に繰り返す回数のこと。単位は「ヘルツ(Hz)」を使います。
この作品は動画にした方が良かったかな?
異なる周波数の音を利用した作品が2つあり、それぞれの音が混ざり合って、不思議な空間を演出していました。
階段の踊り場にニット作品。次は2階に向かいます。
2階は売店でした。
独創的な作品が並んでいます。
1階の通路に「森」をテーマにした額縁作品。
動物や鳥をモチーフにしたものもあります。
そして廃材でできた彫刻作品。私には、鳥がエサを食べているように見えます。
木に棲む生き物や、木に咲く花の絵。
南国に棲む鳥の絵。
森の中を歩く絵。一見抽象画のようですが、よく見るとれっきとした絵でした。
こんな演出もありました。
奥に進むと、「人工知能」の部屋があります。
今回のプロジェクトに関わった人たちから作品写真を集め、人工知能の助けを借りて新しい作品を作ったとの事。
不在の存在。解説者は「作家がいなくても、作家全員と作家たちのアート作品は存在する」と締めくくっています。
「人工知能」の部屋から出口へ向かう廊下にも、「森」をテーマにしたアート作品がありました。
この黒い森。ドイツやフィンランドの鬱蒼とした森を連想させます。
入った時は気づかなかったのですが、出入口にニット製の「のれん」がかかっていました。
建物を出た所に、小さな石の庭。
敷地内に落ちている石を拾って、置いてみました。これも一種の参加型アートです。
制作途中で海外スタッフの来日が不可能になったため、コミュニケーションは全てオンラインで行い、完成品の飾りつけは全てC.A.P.のメンバーが行ったとの事。
作品といい、制作プロセスといい、「文明の力ってすごいな」と思いました。
つづく