ここでちょっと割り込み。
垂水健康公園から徒歩25分の所にある多聞寺の話です。
この寺は神戸のかきつばたの名所として知られています。
訪問したのは平成30年(2018)5月9日(水)。池を埋め尽くすようにかきつばたが咲いていました。
この池の名は心字池。草書体の心を形どった池です。本来なら池に浮かんでいるはずの蓬莱島も、満開のかきつばたに囲まれていました。
また、池のほとりには弁財天が祀られています。
多聞寺は、最澄の弟子・慈覚大師円仁(794-864)により、貞観2年(860)に開基されました。
その円仁が、中国から持ち帰ったかきつばたを植えたのが、かきたばた苑の始まり。現在、境内には約3000株のかきつばたが植えられています。
この本堂は正徳2年(1712)に再建されたもの。本堂には秘仏の毘沙門天の他、日光菩薩立像と月光菩薩立像が祀られています。
多聞寺は神戸十三仏第10番霊場で、霊場巡りでは阿弥陀如来坐像が指定されています。
不動堂から遙聲が聞こえてきました。グレゴリオ聖歌と天台声明を折衷した宗教音楽らしく、どことなく悲しい調べでした。
多聞寺を出て、近くの多聞六神社を詣りました。
とても長い石段。81段あります。
祭神は伊弉諾命、伊弉冉命、大日霊命、素戔嗚命、月読命、蛭子命の六神。明石の岩屋神社から分霊を勧請し、安永6(1777)年に創建したと伝えられています。
日吉神社の祭神は大山咋神。貞観5年(863)に多聞寺の鎮守社として創建され、明治37年(1904)に、多聞六神社の末社になりました。
境内の隅に震災復興記念碑がありました。平成8年(1996)、多聞六神社復興委員会により建てられた碑で、碑文によると、阪神・淡路大震災で社務所が全壊するなど、大きな被害を被ったようです。
多聞六神社を出て石段を下りました。
さらに急な坂道を下って山田川へ。川沿いを歩き、バス停(多聞寺前)に向かいました。