先日、横尾忠則現代美術館で開催中の展覧会「横尾忠則の恐怖の館」を見に行きました。
美術館をお化け屋敷に見立てたとても面白い展覧会です。
血みどろのエレベーターに乗って2階展示室へ。
最初の展示は「乱歩迷宮」。提灯の明かりを頼りに、時にはお化けの叫び声に驚きながら、横尾忠則(1936-)が手がけた「江戸川乱歩全集(1968)」の挿絵を見ました。
横尾氏は挿絵を構想するにあたり、小説を通読するのではなく、ランダムにページを開き、眼に飛び込んできた断片的な語句から自由にイメージを膨らませていったそう。
イマジネーションの発露が優先されるあまり、時には原作のストーリーから逸脱することもあったようです。
「乱歩迷宮」で見た作品を約1分のスライドショーにしました。
「乱歩迷宮」の途中、「あの世とこの世」の展示や「葬列」の展示を見たりしました。
「あの世とこの世」と言えば、一般的に死後の世界を想像しがちですが、横尾氏の作品は、あの世からこの世を観るような描き方をしています。
展示室の奥にある、女優アニタ・エクバーグをかたどった立体作品は、横尾氏が敬愛するフェデリコ・フェリーニ監督の映画「アントニオ博士の誘惑」から採られたもの。
ある日ブロンズの美女が大看板から抜け出し、禁欲主義者のアントニオ博士と夜通し遊び回った挙げ句、殺されてしまうという話です。
「あの世とこの世」で見た作品を、約45秒のスライドショーにしました。
1969年の版画《葬列》は、ジャック・トレー監督の映画「太陽が知っている(1968)」における葬列のシーンのスチル写真を色分解し、6枚のアクリル板に分割して刷り、間隔をおいて重ね合わせたもの。
また、同年の版画「風景」シリーズは、《葬列》の方法論を展開させたもので、色分解されたイメージが刷られた透明なフィルムを重ねることで、意図的に版ズレを生じさせています。
常にその向こうに「死」を見据えたと言われている横尾氏のポートレート。物故者、存命者に関わらず、全てが「遺影」に見えてきます。
「葬列」で見た作品を1分半のスライドショーにしました。
3階展示室に散乱する備品類は、横尾忠則現代美術館の前身にあたる、兵庫県立美術館時代のもの。あたかも美術館が廃墟化したかのような演出です。
展示室の隅っこから、ゴミの山を見つめる幼少期の横尾氏。ベレー帽をかぶっています。
横尾氏が生まれ育った西脇は兵庫県の山間部に位置する地方都市であり、幼少期、身の回りにはいたるところに深い闇が存在していました。
大都会ではもはや失われた闇を故郷で再発見したい。そういう問題意識のもとで生まれたのが、2000年以降のライフワークである「Y路地」シリーズです。
「闇」をテーマにした作品を1分程度のスライドショーにしました。途中、展覧会のポスターに採用された《Pantanalの精霊》が出てきます。
あと、大きなテーマに属さない作品は、展示室外にありました。これらの作品をまとめて展覧会「横尾忠則の恐怖の館」を終わります。
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