幕末京焼の三名工展 煌めく技巧 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

12月10日(金)の美術館訪問記です。

 

阪急芦屋川から徒歩10分。閑静な住宅街の中にある滴翠てきすい美術館。

 

 

かつて大阪・山口財閥4代目当主、山口吉郎兵衛きちろべい(1883-1951)の邸宅だったらしく、その一部を改装し、昭和39年(1964)に開館。

 

 

美術館名の「滴翠」は山口翁の雅号で、同氏が蒐集した2500点にのぼる古美術品を収蔵、展示しています。

 

 

この美術館で12月12日(日)まで、秋季展「幕末京焼の三名工展 煌めく技巧 ~木米・道八・保全~」を開催していました。

 

 

三名工について、滴翠美術館では次のように紹介しています。

 

青木木米もくべい(1767-1833)

京焼の磁祖である奥田頴川えいせん(1753-1811)に陶法を学び、煎茶器を中心とした中国古陶磁の写しを得意とした。

 

仁阿弥にんなみ道八どうはち(1783-1855)

木米同様に頴川に師事し、茶陶ちゃとうから彫塑ちょうそまで多種多様な作品を多く残し、和風京焼の世界を確立した。

 

永樂えいらく保全ほぜん(1795-1854)

土風炉師どふろしの永樂家11代目で、仁清にんせい写しや金襴手きんらんで交趾こうち染付そめつけに優れた作品が多く見られ、偕楽園焼かいらくえんやき湖南焼こなんやきといった御庭焼おにわやきにも携った。

 

 

見ての通り、木米の作品は渋く、道八の作品は華やか。保全の作品は道八の作品に実用性が加わった感じがします。

 

 

会期終了間際&閉館間際ということもあり、館内は貸し切り状態でした。

 

 

あまり宣伝していないようですし、「滴翠窯」という陶芸教室を併設しているので、受講生を対象にした展覧会だったのかもしれません。

 

 

外にある受講生作品を見て気づいたのですが、美術館で名品を鑑賞した時、後で描き加えられた煌びやかな絵に惑わされていました。

 

 

名品は陶工と絵師の合作が多いので、もっと陶磁器の素材や形を見るべきだったと反省。制作経験のある人なら着眼点も違うのでしょう。

 

 

なんだか陶芸教室への入会を促されているような気がしました。

 

 

閉館時刻も午後4時と、美術館にしては早めです。

 

 

帰りは山手中学生の下校時間と重なり、芦屋川駅までワイワイガヤガヤ賑やかな道を歩きました。