THEドラえもん展 KYOTO2021 ② | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

「THE ドラえもん展」後半。撮影禁止作品を飛ばして、13~25番を振り返ります。

 

 

13.鴻池こうのいけ朋子ともこ(アーティスト/1960年生まれ)

 

《しずかちゃんの洞窟へや

 

参加依頼を受けた際、なぜか直ぐに、「しずかちゃんはどうしてるかな?」と思い、その場ですぐに、しずかちゃんの洞窟をつくろうかなと思う、と返事したとの事。

 

白蛇や蛙がいる不気味な洞窟。毛皮の切れ端は動物の死骸を連想させる。

 

 

14.奈良美智(美術家/1959年生まれ)

 

《依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中》

 

頭のリボンだけでなく、首につけた鈴まで取られて、悲しそうな表情を浮かべたドラミちゃん。

 

よく見ると、怒りをぐっと抑えた表情にも見える。

 

泣き顔のスケッチもあり、試行錯誤の末、クールなドラミちゃんになったのでしょう。

 

 

ここからは「あなたのドラえもんをつくってください。~映画編~」。「映画ドラえもん」からインスピレーションを受けた作品が並びます。

 

 

15.れなれな(中島玲奈)(画家/1996年生まれ)

 

《静かな決意》

『のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~』より、元の世界に戻ろうにも「もしもボックス」が燃やされてしまい、ドラえもんたちが、魔界星に闘いを挑む覚悟を決める場面を再現した作品。

 

 

16.篠原愛(画家/1984年生まれ)

 

《To the Bright~のび太の魔界大冒険~》

『のび太の魔界大冒険』で、のび太たちが魔界で遭遇する、人魚の住む小島と大怪魔肉食ツノクジラ。原作では敵同士だが、作者は仲良く戯れている様子が見たくて、いい意味でのパロディを描いた。

 

 

17.近藤智美さとみ(画家/1985年生まれ)

 

《ときどきりくつにあわないことをするのが人間なのよ》

『のび太と鉄人兵団』は、しずかちゃんとリルルというロボットの女の子の複雑な心の動きに焦点を当てた物語。作品タイトルは、そのやりとりの中で、しずかちゃんがリトルに言ったセリフ。

 

 

18.山本竜基りゅうき(画家/1976年生まれ)

 

《山本空間の突入するドラえもんたち》

『のび太の恐竜』には、タイムマシンが故障して、ドラえもんたちが白亜紀のアメリカに飛ばされるという場面がある。それにちなんで、山本空間に突入するシーンを描いた。

 

 

19.増田セバスチャン(アーティスト/1970年生まれ)

 

《さいごのウエボン》

『のび太のドラビアンナイト』にちなんで。どこかの砂漠にポツンと置き去りにされたドラえもんのぬいぐるみが見つかったというコンセプトの作品。

 

 

20.伊藤航(ペーパーアーティスト/1983年生まれ)

 

《ドラえもん ひみつ道具図典 ~タケコプター~》

タケコプターは、ドラえもんのひみつ道具で最もポピュラーな道具。頭に装着する半球の内部が、かなり細かく作り込まれている。

 

 

《ドラえもん ひみつ道具図典 ~自動万能工事マシン~》

自動万能工事マシンは、『のび太と雪の王国』で重要な役割を果たす、ドラエもんのひみつ道具。蛇腹ホースから雪を吸い取ると上部からレンガが飛び出してくるという道具で、ホース部分は実際に動かせるように作っている。

 

 

20.山口英紀ひでのり(水墨画家/1976年生まれ)

 

伊藤航制作のペーパークラフトをもとに画を起こし、そこに文章を添えて、「ひみつ道具」という図典の中の1ページであるような構成にした。

 

《ドラえもん ひみつ道具図典 ~タケコプター~》

 

《ドラえもん ひみつ道具図典 ~自動万能工事マシン~》

 

 

21.後藤映則あきのり(アーティスト/1984年生まれ)

 

《超時空間》

 

『のび太の宇宙開拓史』によると、のび太の部屋と宇宙船が、超空間のねじれによってつながった。ロップルの住むコーヤコーヤ星は、地球から遠く離れた開拓星。自然に恵まれ、不思議な生き物たちがいっぱいだ。

 

だが、そんなコーヤコーヤ星を、ガルタイト鉱業が狙っていた!ロップルたちを守って戦う、ドラえもんとのび太。その前に、さらなる強敵が現れた!!

 

 

22.中里勇太(彫刻家/1986年生まれ)

 

《選んだゆめときぼう》

『のび太の日本誕生』は、7万年前の日本から現代にタイムスリップしたのび太たちが原始人のククルと出会い、ククルの仲間のヒカリ族がクラヤミ族に襲われたことを知り、ヒカリ族を救い出すため、古代の中国大陸に向かったという話。

 

 

23.中塚翠涛すいとう(書家/1979年生まれ)

 

《光と影》

現代と7万年前を旅する『のび太の日本誕生』。その時間軸を表現するために六曲一隻の屏風にし、それぞれ二曲ずつに。ドラコ・ペガ・グリの色を使って「楽」という文字を表した。

 

こちらは屏風に描かれた「楽えもん」の下絵。のび太たちがヒカリ族を救った姿から儒教の精神を感じ取った中塚は、その五徳(仁・義・礼・智・儒)の文字を屏風に盛り込んだ。

 

 

24.クワクボリョウタ(メディアアーティスト/1971年生まれ)

 

《鈴と太陽~ひみつ道具博物館~》

『のび太のひみつ道具博物館』の中で、ペプラー博士は、画期的な新物質の生成に執念を燃やすあまり人工太陽を暴走させ、謝って人類を滅亡の危機に追い詰めてしまう。一方でドラえもんは怪盗DXに鈴を盗まれてしまう。ドラえもんの鈴への執着っぷりがすごい。

 

 

25.坂本友由ともよし(画家/1985年生まれ)

 

《僕らはいつごろ大人になるのだろう》

『のび太の宇宙小戦争』は、危機に立ち向かいながらも成長し一歩大人へと近づいていく物語。作品はその中の一場面。

 

 

最後のシメは意味深な言葉。

 

 

そして、神奈川県川崎市にある「藤子・F・不二雄ミュージアム」の案内もありました。

 

 

それにしても、平成の30年間で「ドラえもん」のあり方も随分変わったものです。初めはいい年した大人がドラえもんなんてと思いましたが、「THEドラえもん展」は、むしろ大人向けの展覧会でした。

 

 

そしていつの間にか、子供向けのキャラクターをテーマにした展覧会が増えて、美術館の敷居が下がってきたように思えます。

 

 

外は今にも雨が降り出しそうな空模様。

 

 

四条河原町までバスに乗り、9月1日(水)の美術館巡りは終わりました。