植物の出現
最初に陸を目指した生物は植物です。約4億7千万年前の古生代オルドビス紀、陸に上がってきた初めての植物は、浅い海や沼などに生息していた緑藻類(緑色をした藻類)の仲間が進化したものと考えられています。
最も古い植物体の化石は、シルル紀中期の地層から発見されました。その植物の名はクックソニア。シルル紀中期からデボン紀前期に生息していた陸上動物で、シダ植物の遠い祖先にあたります。
デボン紀に入ると急速に多様化が進み、石炭紀にはシダの仲間が巨大化し、森を形成しました。
昆虫大繁栄
昆虫は約4億数千万年前の古生代シルル紀に、海から上陸したと考えられています。祖先はカンブリア紀の海の中で生活していた有爪(ゆうそう)動物で、そこから節足動物が生まれ、その一部が昆虫に進化しました。
また、動物の中で最も早く空を飛んだのも昆虫でした。初期の有翅(ゆうし)昆虫の中には、翅(はね)を6枚持つものもいました。約3億年前、空を支配していたのは昆虫だったのです。
昆虫の多様性は圧倒的で、現在確認されているだけでも約100万種、未確認の種は1000万種とも言われています。
昆虫が出現して約1億年経った石炭紀から多様な進化が始まり、ベルム紀には現存するグループが出揃いました。
この頃の自然界は、湿地帯に巨大なシダ植物が大森林をつくり、光合成によって大量の酸素が供給され、昆虫はその恩恵を存分に受けました。
約3億年前の石炭紀に歴史上最大の昆虫が出現。トンボの仲間「メガネウラ」です。翅を広げた長さが約70cmで、現生する日本最大のトンボ(オニヤンマ)の約7倍ありました。
古生代の昆虫が大きかったのは、酸素濃度説が有力です。現在の空気中の酸素濃度は約20%ですが、メガネウラが出現した石炭紀には、35%近くあったと言われています。
昆虫は気門で呼吸するため、肺呼吸に比べて酸素の吸収率が悪く、巨大な昆虫は酸素濃度が高くないと、身体の奥まで酸素を供給できなかったのです。
魚類の進化
全ての脊椎動物の祖先で、最古の魚類と言われている無顎類のミクロンミンギアが誕生したカンブリア紀から約5千万年後、オルドビス紀中期に、より魚類の特徴をもったアランダスピスが登場します。
アランダスピスは全長15~20cm程度、流線型の身体にはウロコもあったようですが、身体の前半分が固い骨状の板に覆われているなど、現代の魚とはかなり異なるものでした。まだアゴも無く、海底の泥からエサを吸い取って生きていたようです。
さらに約5千万年後のシルル紀に入ると、一気に多様化が進み、様々なグループが現われます。後に絶滅するもの、徐々に形を変えて進化するもの、ほとんど形を変えずに生き残ったものなど、シルル紀からデボン紀にかけて魚たちは大きく進化しました。
それでは、グループ毎に進化の様子を見ていきましょう。
板皮(ばんひ)類
脊椎動物で初めてアゴを持った生き物。アゴの先を歯のような突起物にして、獲物を効率よく捕食しました。石炭紀の初め、3億8千年前頃に絶滅します。
軟骨魚類
サメやエイの祖先。骨格が柔軟なため骨は化石になりにくく、主に歯やウロコが残っています。
棘魚(きょくぎょ)類
主に淡水域で繁栄した魚で、尾ビレ以外のヒレにトゲがありました。2億5千万年前のベルム紀に絶滅しています。
肉鰭(にくき)類
筋肉質のヒレを持つシーラカンスや肺魚の祖先で、一部が四肢動物に進化したと考えられています。
条鰭(じょうき)類
筋の入ったヒレが特徴。最も繁栄した魚類で、現生する魚類の95%以上がこの仲間です。
無顎(むがく)類
最も古いタイプの魚類ですが、現代の日本にも、スナヤツメなどの4種類が生息しています。