洛西竹林公園(竹の生態) | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 竹の資料館で興味深い資料がありました。この記事を最後まで読むと、竹とタケノコの違いが分かるようになります。

 

世界の竹

 竹は熱帯を中心とした温暖で湿気の多い地域に生育する植物です。分布の北限はサハリンの北緯51度辺りで、南限は南米の南緯47度辺りです。また、垂直的な分布では、ヒマラヤ山脈の標高4000mに達しています。

 

 世界には約1200種類の竹があると言われています。基本型は木本性と草本性に分かれ、木本性は地下茎(ちかけい)の繁殖パターンによって、単軸型と連軸型と混合型に分かれます。日本に生育している竹はほとんどが単軸型です。

 

単軸型と連軸型

 単軸型(たんじくけい)は、地下茎が地中に長く伸び、その地下茎の芽がタケノコになって地上に伸び、竹になるタイプです。

 

 竹林には地下茎が網の目のように広がっています。地下茎の寿命は10年未満で、毎年新しい地下茎を伸ばしていきます。そのため、竹林は立竹(りっちく)がばら立ちする散生型竹林を形成します。

 

 下の写真はモウソウチクの地下茎の広がりです。

 

 連軸型(れんじくけい)は熱帯性の竹の特徴で、日本ではホウライチクなどが挙げられます。竹稈(ちっかん)地下部にある地下茎の芽がタケノコになって地上に伸び、竹となるタイプです。

 

竹の成長

 竹は種から育ちます。一般的に植物の種子は発芽し、一定の周期で花をつけ、結実します。

 

 下の写真はモウソウチクの花です。雄しべと雌しべが受粉し、結実します。

 

 しかしマダケはほとんど結実せず、地下茎によって無機的に次世代へ移行します。

 

 竹は春に紅葉します。俳句や詩歌での季語「竹の秋」は、春の竹の紅葉を指します。京都では5月頃、特にモウソウチクは見事に紅葉し、独特の風景になります。これは、この時期に葉変わりするために起こる現象です。

 

 一般に、竹はこのようにして毎年新しい葉に更新します。古い葉が紅葉して脱落すると、枝にその「落ち跡」が残ります。その「落ち跡」の数でその竹の年齢が分かります。例えば、落ち跡が1個であれば、その竹の年齢は2年生。2個あれば3年生です。

 

筍の成長

 タケノコの出る時期は種類によって違います。春の味覚の王者とも言われるモウソウチクは3月下旬から4月上旬。続いてハチク、マダケの順に発筍(はつじゅん)します。熱帯性のホウライチクは夏から、そしてカンチクは秋から発筍します。

 

 タケノコが地上に出てから完全に成長を終えるまでの期間は3ヶ月ほどで、その成長は驚異的です。竹の皮で覆われている部分は伸長中で、成長を終えると皮が落ちます。皮に覆われている部分には成長帯があり、そこで伸びます。

 

 1日の伸長量については、19世紀からいろいろな記録が発表されてきましたが、1963(昭和38)年に上田弘一郎博士が発表した、マダケの121cmが最大です。

 

 1日の伸長量を記録した図。この図からタケノコの成長は目覚ましく、成長の終わった部分から順に、緑の竹になっていくのが分かります。