アニメーションにみる日本建築 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 新神戸駅近くの竹中大工道具館で、2月24日(土)から5月6日(日)まで、ジブリの立体建造物展から、「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などに登場する建物を採り上げた展示会がありました。

 

 となりのトトロに登場する草壁家住宅。作中では、サツキとメイの引っ越し先で、同級生からお化け屋敷だとからかわれるシーンがありました。手前の白い建物は洋風で、奥は日本家屋という不思議な造り。このような造りの建物は「文化住宅」と呼ばれ、大正中期から昭和初期辺りでは珍しくなかったそうです。

 

 話の舞台は昭和30年代。草壁家にテレビはありません。6.2帖の洋室が大学の非常勤講師と翻訳の仕事をしているお父さんの作業場です。残りが和風の造りで、炊事場は土間で、風呂は五右衛門風呂でした。

 

 昭和初期の家は、冬は厚着をすることで寒さに対応できるため、夏の過ごしやすさを基準に設計されたそうです。欄間や縁側など、建物と外、部屋同士の境界が曖昧なのは、狭い生活空間を少しでも広く使うための工夫だと言われています。

 

 話は変わって、ここは神様たちの住む世界。橋の向こうの建物は、千と千尋の神隠しに登場する銭湯「油屋」です。神様たちのご飯を勝手に食べて動物にされた両親を助けるため、主人公の千(神様の世界では千で、人間の世界では千尋)は、油屋で懸命に働きました。

 

 物語の舞台は平成。作中にガスでお風呂を沸かす場面や、エレベーターで建物を上り下りする場面がありました。

 

 油屋は地上7階、地下11階ある大きな建物です。地下11階から地下6階までの最下層が狭く、安定しているとは言えません。

 

 この展示を通して、スタジオジブリ作品の芸術性の高さを見直しました。世代を超えて受け入れられた作品は、末永く引き継がれていくことでしょう。