仏蘭西館 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

英国館の隣は洋館長屋です。

 2つの家が左右対称に連なる建築様式で、日本の長屋に似ていることから「洋館長屋」と呼ばれています。1908年に外国人向けのアパートとして建てられました。

 

 1階の食堂や居間には、フランスの美術品が展示されていました。そのため、仏蘭西館とも呼ばれています。当時はアール・ヌーボーが主流でした。

 

 アール・ヌーボーは、1880~1910頃に、ヨーロッパやアメリカで起こった革新的な芸術運動です。フランス語で「新しい芸術」を意味し、美術商サミュエル・ビングが1895年に開いたパリの店「アール・ヌーボー」に由来します。

 建築、インテリア、デザイン、家具、ポスター、ガラス工芸、陶磁器、織物、挿絵などの広い表現領域に波及しました。つる草のようにうねる曲線を多用した点に特徴があります。

 

 エミール・ガレ(1846-1904)、ルネ・ラリック(1860-1945)、ドーム兄弟(兄:オーギュスト・ドーム:1853-1909、弟:アントナン・ドーム:1864-1930)など、アールヌーボーを代表するガラス工芸家の作品が2階のギャラリーにも展示されていました。

 

 ティファニー・ランプはアメリカン・アール・ヌーボーの傑作です。ティファニー社の創業者(チャールズ・ルイス・ティファニー)の長男であるルイス・カムフォート・ティファニー(1848-1933)がヨーロッパのステンドグラスをヒントに発案しました。

 

他、フランスのブランドが展示されていました。

 

 パリから南南西に260キロ、ヴィエンヌ川のたもとに広がる古いフランスの街「リモージュ」で生み出される陶器「リモージュ焼」。

 リモージュ焼は、薄くて白いのが特徴です。1766年に純白のカオリンが発見された後、ナポレオン3世時代(1852~1870)にはリモージュは世界一の陶磁器を創る街として広く知られるようになりました。

 

 ルイ・ヴィトンは、スーツケース職人であるルイ・ヴィトン(1821-1892)が1854年に設立した会社です。世界初の旅行鞄専門店で、上積み出来る平らなトランクを考案し、素材を豚皮から軽くて防水加工に適したキャンバス地を採用しました。それが評判になり、ナポレオン三世を始めとするヨーロッパ中の王族が競うようにオーダーするようになったそうです。

 1896年、2代目のジョルジュ・ヴィトンがコピー品対策として、ルイ・ヴィトンのイニシャル「L・V」と日本の家紋からヒントを得た花のモチーフを織り交ぜた「モノグラムキャンバス」を考案しました。

 

2階の部屋を周りました。

 

 花弁状ソファは、100年前のソファの脚が阪神・淡路大震災で折れたため、椅子張り職人として神戸で唯一マイスターとして認定されている山崎さんが修理した物です。

 

 寝室、書斎、子供部屋。どの部屋も豪華絢爛で、まるでルイ15世やマリー・アントワネットが住んでいた部屋のようでした。