英国館 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 1868年に神戸港が開港し、外国人技術者を長く雇うため、旧居留地に治外法権の場所を設け、126区画に分けて外国人に競売しました。

 1899年に旧居留地が日本に帰還され、そこに住んでいた外国人が山の手に住居を構えるようになりました。三ノ宮駅から北へ20分ほど歩くと、北野異人館街があります。

 案内所で8館セット入場券を買い、8館の周り方について説明を受けました。まずは英国館に行きました。

 

 英国館はフデセック氏の邸宅として1907年に建てられました。フデセック氏は外国人のホームドクターで、戦争中も日本に残り、自宅を開放して日本人の看護を行った人物です。

英国館入口

 

生活感は全くなく、英国文化を知る資料館に変わっていました。

 

 展示の家具や調度品は17世紀バロック時代から19世紀ビクトリア時代にかけて英国貴族が使用していた高級品です。このベッドが特に立派でした。

 

 1階にKING of KINGSというバーが入っています。ロンドンのケンジントン・パーク近くの古い裏街にあった由緒ある会員制の高級バーを模倣した店で、日・祝を除く夕方以降営業しています。

 街に酒場が出来たのは、大航海時代(15世紀~17世紀前半)です。イギリスではバーのことをパブ(public houseの略、大衆酒場の意。)と呼びます。飲むだけでなく、地域社会のコミュニケーションの場として大きな役割を果たしてきました。

パブ

 

 新大陸発見により、アングロサクソン人のアメリカ移住が始まり、西部開拓時代には立ち飲みスタイルの酒場が生まれました。当時は樽から酒を計り売りしていましたが、西部の荒くれ男達が勝手に酒を取り出すため、その対策に樽と客の間に横木(バー)を設けたそうです。以降酒場のことを「バー」と呼ぶようになりました。

 

 KING of KINGSでは、フィッシュアンドチップスなど英国料理も用意しています。

朝食

 

 2階はシャーロック・ホームズの部屋です。シャーロック・ホームズは、小説家サー・アーサー・コナン・ドイルが19世紀から20世紀にかけて書いた推理小説「シャーロック・ホームズ」シリーズの主人公で、架空の探偵です。

ホームズの部屋

 

 天才的な観察眼と推理力を持つ私立・諮問探偵で、ロンドンのベーカー街221bにあるハドスン夫人所有のアパートで、相棒のワトスン医師と共同生活をしていました。

探偵道具2

 

 この建物は異人館に多いコロニアル・スタイルの建物だと、スタッフから説明がありました。

 コロニアル・スタイルとは、アメリカの植民地時代(1620~1820)の建築のことで、伝統の無い新開地に、移民たちが祖国の建築様式を簡略化しながら展開した様式の総称です。

 

裏口から英国館を出ました。英国の文化を垣間見れた異人館でした。