メリケンパーク(野外展示物) | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

メリケンパーク内に、神戸海洋博物館やカワサキワールドの野外展示物があります。

展示物の説明文は一部抜粋しました。


● コンテナ船「らいん丸」搭載 蒸気タービンエンジン(高圧タービン)

 1972年に三菱重工神戸造船所で建造され、ヨーロッパ航路に就航していた商船三井のコンテナ船「らいん丸」に搭載していた船舶用蒸気タービンエンジンのタービン部。

 蒸気タービンエンジンは、ボイラーで発生させた蒸気を羽根に吹き付けて回転体を回転させ、こてによって生じた回転力を推進器に伝えて船を動かします。

 この高圧タービンは、最初の勢いのある蒸気を受け入れるところで、通過した蒸気は低圧タービンに導かれ、効率よく動力を推進器に伝達します。


らいん丸


● 有銲錨(ゆうかんびょう)

 この錨は十字に張り出した銲(ストック)を持っていることから有銲錨(ストック・アンカー)と呼ばれ、明治末期頃まで世界中の艦艇や商船に多く使用されていました。

 その後、格納に便利な銲を持たない無銲錨(ストックレス・アンカー)に変わりました。

 しかし、有銲錨は重さの割には保持力が大きいことから、帆船や作業船、係船用ブイなどのほか、進水式で船台を抜取るためのアンカーとして今でも使用されています。

 この錨は、建造中の船を係留するため、三菱重工業神戸造船所で永年使用されていたものです。


ストックアンカー


● テクノスーパーライナー「疾風(はやて)」

 テクノスーパーライナーは、時速約93km、貨物積載重量1000トン、航続距離約930km以上、波高6m程度の荒れた海でも安全に航行できる超高速貨物船です。

 疾風は船体重量を支える浮力、揚力、空気圧の3つのうち、浮力と揚力を組み合わせた揚力式複合持船で約1/6の実験船です。


疾風


● 超電導電磁推進船「ヤマト1」と超電動電磁推進装置

 超電導の技術を用いた磁石の力で海水を押し出すことによって進む船として、世界で初めて神戸港で実験航走しました。従来の船のようにスクリュープロペラやウォータージェットポンプなどはありません。


ヤマト

超電導磁推進装置


● 自律型無人潜水機「マリンバード」

 マリンバードは、さまざまな観察やデータ採取を無人で行える水中ロボットです。内部は、コンピュータ・スクリュー・電池それに多数のセンサーなどで構成されており、水中では任務達成のためコンピュータに詰め込まれた人工頭脳が働き、その決定に従って行動します。このようなタイプの水中ロボットは自律型無人潜水機(AUV)と呼ばれています。

 マリンバードの最大の特徴は、電池に蓄えられた電力が残り少なくなったら、水中にある充電用基地に自力でドッキングし、電池を充電することによって、水中活動を繰り返すことができる点です。このドッキング機能により電池で動くAUVの稼働時間が伸びました。


マリンバード


● トリガー装置 三菱重工神戸造船所で約60年にわたり使用されていたもの。

 トリガーは、船の進水式の際に船と船台をつなぐ滑り止め装置のような役割として使用されていました。通常は船が勝手に滑り出さないよう、固定装置がしっかりと取り付けられていますが、進水が近づくと固定装置も取り外され、進水台上の船はトリガーのみで支えられます。

 そしてトリガー装置の安全ピンを抜き、支綱切断と同時にトリガー用ジャッキを引き込むとトリガーが外れて、船は滑走台とともにボール上を滑り出し進水する仕組みになっています。


トリガー