散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

1月14日(火)大阪中之島美術館。

 

 

お目当ての展覧会は「拡大するシュルレアリスム」。何度見ても分からないシュルレアリスムですが、懲りずに足を運びます。そもそもシュルレアリスムって何でしょう?チラシ裏面に次のような説明がありました。

 

 

シュルレアリスムは1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた動向で、「これまで無視されてきたような種々の連想における高次のリアリティと、夢の全能性への信頼に基づく」ものとされています。無意識や夢に着目したフロイトの精神分析学に影響を受けて発生しました。

 

 

展示室に入ると、さらに噛み砕いた説明があり、"シュルレアリスムという単語は、現実をさらに突き詰めて凝縮した「強度な現実」を意味します。"という一文が、"日本語で「超現実主義」と訳される事から、「現実を超えた」世界の表現"だと思っていた私には衝撃的でした。

 

 

プロローグの展示は、第1章から第6章までの内容をピックアップしたもの。全体を見てから個々を掘り下げていくという構成です。撮影可の作品もあり、エルザ・スキャパレッリがデザインした動物柄のイヴニングドレス《サーカス・コレクション(1938)》が、かわいくて気に入りました。

 

 

第1章はオブジェ。シュルレアリストたちは「オブジェ(客体)」として事象を見つめることで、「強度な現実」と向き合いました。ジャン(ハンス)・アルプ作《植物のトルソ(1959)》は、色白の女性を連想させる作品。植物にも雄しべと雌しべがあり、受粉することで遺伝子を残していくという現実が見えてきます。

 

 

第2章は絵画。エルンスト、マグリット、デルヴォー、ダリなどはそれぞれの個性豊かな作風や技法を使って、人の深層心理や夢想を反映した不可思議な光景や人物像を描きました。

 

マックス・エルンスト《偶像(1926)》

 

 

ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束(1957)》

 

 

ルネ・マグリット《王様の美術館(1966)》

 

 

サルバドール・ダリ《幽霊と幻影(1934頃)》

 

 

第3章は写真。19世紀前半に誕生した写真術は、被写体をそのまま写すという本来の役割を超えて、20世紀美術を彩る主要な表現のひとつになります。シュルレアリストは多様な技法を駆使して、日常的なモチーフを斬新で謎めいたイメージへと変えました。

 

マン・レイ《ねじとりんご(1931)》

 

 

ヘルベルト・バイヤー《セルフ・ポートレイト(1932)》

 

 

ヴォルス《美しい肉片(1939)》

 

 

本展覧会のテーマは「拡大するシュルレアリスム」。ここから先、オブジェ、写真、絵画といった芸術と呼ばれる領域から、さらに広く目を向けていきます。

 

 

第4章は広告。デペイズマンやコラージュ、フォトモンタージュなどシュルレアリスムにおいて多用されたテクニックを発揮した広告の中から、インパクトの強いものをピックアップしました。

 

ジョアン・ミロ《ポスター「スペインを救え」(1937)》

 

 

ヘルベルト・ロイピン《ポスター「パンテーン:ビタミン配合最高級ヘアトニック」(1945)》

 

 

サルバドール・ダリ《ポスター「パリ、フランス国有鉄道」(1969)》

 

 

第5章はファッション。服飾そのものや服飾雑誌にシュルレアリスム的手法が用いられるとともに、服をまとうマネキンを身体のオブジェ化としてとらえるなど、シュルレアリストたちのインスピレーションの源ともなりました。

 

マン・レイ《アンドレ・ブルトン(1923)》

 

 

エルザ・スキャパレッリ《香水瓶「スリーピング」(1938)》

 

 

エルザ・スキャパレッリ、マックス・ポワネ(制作)《クリップ(1938頃)》

 

 

サルバドール・ダリ《ダリの太陽(1965)》

 

 

第6章はインテリア。違和感を引き起こして現実に揺さぶりをかけるシュルレアリスムにとって、日常生活の場である室内の安定した秩序を転覆させることには大きな意味がありました。室内に置かれる家具もまた、有機的な形態を特徴とする、奇妙なオブジェへと変貌します。

 

ジャン(ハンス)・アルプ《灰色の上の黒い形態の星座(1937)》

 

 

ヴィクトル・ブローネル《誕生の球体(1939)》

 

 

イサム・ノグチ《コーヒーテーブル(1939)》

 

 

メレット・オッペンハイム《鳥の足のテーブル(1939/1983)》

 

 

マックス・エルンスト《偉大なる無知の人(1974)》

 

 

イサム・ノグチもシュルレアリスムの一人だったんですね。特設ショップでは図録を購入。また読み返そうと思っています。

 

 

エスカレーター付近にある《大きな馬》は、レイモン・デュシャン=ヴィヨンが1914年に制作したものを、弟のマルセル・デュシャンが拡大鋳造したものです。早世したレイモンの遺志を引き継ぎ、1966年に完成しました。馬の生命力の飛躍を機械のダイナミックな運動に重ね合わせて表現しています。

 

 

「拡大するシュルレアリスム」は今日(3/8)までです。シュルレアリスムがよく分かる良い展示で、もっと早く紹介したかったのですが、確定申告に手こずり、閉幕ギリギリの投稿になってしまいました。