今回はレジリエンスの話題を取り上げます。最近は私たちにも浸透してきましたが、当初は何のことなのかよく分からず戸惑った事もありました。
レジリエンスを一言で表現するならば「心のしなやかさ」のような意味になるようです。ツラい状況で心にダメージを受けても、それを回復して元の状態に元に戻さないと、なかなか前に進めません。この「回復する力」に当たるものがレジリエンスというわけです。「回復力」以外では、「復元力」「弾力」などの表現もあるようです。
意味するところは「困難やストレス、逆境などの状況でただ狼狽えるのではなく、しなやかに対処して問題の解決を図るとともに、精神的な面で受けたダメージを速やかに回復に至らしめる能力」と捉えればよいでしょう。問題の解決を図るだけなら周囲の人の協力を得る事も出来ますが、心のダメージは自分で解決しなければなりません。そうしないと次に進めませんし、仕事などにも大きな影響が出てしまいます。そのため、現在ではビジネスの世界や心理学の分野で「折れない心」を育むための重要なスキルとして注目されています。
レジリエンスは本来、「外から加えられた力によって変形した物質や物体が、どれくらい元に戻ろうとして外からの力を跳ね返すか」という物理的な意味の言葉だったようです。
「外から加えられた力」を心理的なストレスに置き換えると、その人の精神的な強さ(打たれ強さ?)になりそうですね。この辺りからでしょうか、「強いストレスを体験してもPTSD(心的外傷後ストレス障害)になる人とならない人が出て来るのは、どこに違いがあるのか?」という心理学的な疑問が湧きあがってきます。どうやら、そのような研究の中から出てきた「精神的な回復力」を意味する言葉として使われ始めたようですね。
このレジリエンス、しっかりと身についている人ってどんな人物像になるのでしょうか。おそらく、失敗やストレスにも取り乱さず、自分の感情をうまくコントロールして、客観的な視点を持って柔軟に対処できるだろうと考えられます。ちょっと深掘りしてみましょう。
調べてみると、レジリエンスが高い人には共通する特徴があるようですね。
一つ目は「切り替えが早い」という事でした。言い換えると「こだわらない」わけですから、ストレスは溜まりにくいだろうなと思います。ヘンに完璧や手法にこだわるとそこで仕事などは止まってしまいます。それよりも、目的や目標からズレなければ「その時の最適解」に切り替えた方が早く解決して次に進めます。何か失敗してもすぐに気持ちを切り替えて、そこから何かを掴み取って学びに変える事が出来るでしょう。
二つ目、「自分(の感情)をコントロールできる」人、レジリエンスが高い人の特徴の一つになっていました。このような人は自分の感情に振り回されることはありません。自分がどうにか「できること」と「できないこと」に分けてしまえば、どうにもできない事には手を付けないと割り切ってしまって、出来ることに注力するでしょう。こうすれば余計なストレスを抱え込むことは無くなります。そのうえで冷静な判断を下すことができます。
三つ目は「自分を信じる」ということでしょうか。過信や自惚れではいけませんが、自分の力量をしっかりと理解していれば「自分の長所や欠点」を客観的に受け入れる事が出来ますので、そのうえでの判断として「自分ならなんとかできる」と考える事が出来ます。これは自己効力感の大きな根拠になりますよね。困難に対して「自分はダメだ」という否定的な方に向きにくいのは、その人にとっての大きな強みになります。
四つ目は「適切な協力を求める力」があることです。自分を信じていれば問題はいずれ解決するでしょう。しかし、その問題を全部自分一人で抱え込まず、また誰かに全部丸投げしたりせず、周囲の同僚などに協力を求めることができます。問題を解決するために素直に協力を求めて支援や情報を集める、そんな力に長けています。
レジリエンスが高い人は共通して、このような特徴があるようですね。こんな人物なら周囲の人の評価も高くなるでしょう。では、どうすればレジリエンスを高める事が出来るでしょうか。今挙げた4つの特徴を伸ばすという事を思いつきますが、レジリエンスには6つの要素があるという事でした。それならば、その要素を鍛えていけばレジリエンスを高める事が出来そうですね。具体的な方法を書いていきます。
要素①自己認識
自分を先ず理解する事です。自分の思考や感情のクセ、自分の長所や短所、価値観などを理解し認識しておけば、自分を客観的に見る事が出来ます。困難な場面でも冷静に状況を判断して、そこからの回復策を取る事が出来ます。自分を理解することが、レジリエンスを発揮するための最初の一歩という事ですね。
要素②自制心
先に、レジリエンスの高い人は自分の感情をコントロール出来ると書きましたが、それに当たります。自分の思考や感情、行動などを変えて目的の結果を得るに至らしめる能力を指します。自分を律する事が出来なければ感情に振り回されてしまいます。これでは問題の解決も、レジリエンスも望めません。
要素③精神的柔軟性
これは先に書いた「切り替えが早い」という事を含む内容のようですね。自分とは異なる立場で物事を考える事が出来れば、視野が狭くなってしまう弊害を防ぐ事が出来ます。そうすれば、困難に陥ったとしても焦ったり感情的になったりすることも防げるでしょう。精神的な柔軟性を持つことで自分の今の状況を客観的に理解できれば、柔軟に対応できます。
要素④現実的楽観性
自分を信じて「自分は未来をより良くできる」と考え、その確信を持つ事が出来れば、そのための行動を起こすことも可能になります。未来を良くするために行動しようと思えば、先ず一歩踏み出さなければなりませんが、楽観的でなければその一歩は踏み出せません。そんな現実的楽観性があれば、困難も自分の成長の糧として前向きに捉える事が出来ます。
要素⑤自己効力感
要素④の「現実的楽観性」にも通じますが、「自分はできる」と自信を持つことです。自分は状況をコントロールできる、問題を解決できるとの自信が持てれば、困難に打ち勝つための一歩が踏み出せるでしょう。自己効力感は、ひるまずに勇気をもって行動を起こす原動力となります。
こうしてみると、「現実的楽観性」と「自己効力感」は内容が似ているようですね。混同しやすいので、違いについて調べました。一言で言えば、未来に目を向けるのが「現実的楽観性」、自分に目を向けるのが「自己効力感」のようです。
〇現実的楽観性とは、「厳しい現実(リスク)を直視した上で、最終的には良い結果にたどり着ける」と信じる態度です。都合の良い妄想ではありません。「より良い未来」を見据えて行動すれば、途中で心が折れずに粘り強くアプローチを続ける事が出来ます。
〇 自己効力感とは、「自分の行動が結果を生み出すという確信」です。結果に至るまでの「自分の行動プロセス」を信じる力です。トラブルに対しても、「自分には対処する能力がある」と思えるので、無力感に陥らずに、すぐに具体的な対策を起こせます。
要素⑥人とのつながり
他者との信頼関係を築く能力です。レジリエンスは個人の要素の大切ですが、外の要素である他者とのつながりによっても向上することができます。良好な人間関係が築けていれば、困難に直面した時に協力を求める事が出来るでしょうし、手助けしてもらえるでしょう。困難には1人よりも仲間と立ち向かう方が、乗り越えられる可能性が高まります。
このような事が必要なんですね。
