今日のタイトルは矛盾した文言のように聞こえるかもしれませんが、私は大真面目です。日本にはその道の達人と呼ばれる優れた職人の方がたくさんいるのはご存じですよね。一般人の私たちからすれば名も知らない人たちかも知れませんが、その道では知らない人がいないと言うような名の通った人たちも大勢います。私たちが知らないのは「自分がその道のヒトではないから」というだけの理由でしょう。職人の方々は世間的な名誉や名声といったものに価値を置いていない人が多いためではないかと思います。きっと、そんなものに興味がないのでしょう。自分の腕を磨いて技術をどんどんレベルアップさせていった努力の賜物が、今の姿ということなのでしょうね。
何かモノを作る場合、それが家屋であっても工芸品や日用品であったとしても、通常なら常に同じ品質のモノを作り上げることが目標になるかと思いますが、そのために技を極めていくと「今日の温度は・・・、今の湿度ならこのくらい~」というように、素人では判断できないレベルでの細かい調整をして仕事を仕上げる技術にまで至るんですね。仕上がったものは常に同じ、質も常に一定以上の水準を保っている、しかし、それを作り上げるまでの工程が毎回少しずつ違っているという事なのでしょう。このレベルの微調整は、素人では分かりません。きっと同じ技術を持つ人たちの間でも出来るか出来ないか微妙な域になると思います。
また、時代が変わればヒトの嗜好も移り変わっていくでしょうから、昔ながらのモノがそのままだと必ずしも喜ばれるとは限りません。何も時代に合わせる工夫がなく変わったことろも無ければ工夫も無いとすれば、次第に飽きてしまわれるのではないでしょうか。ヒトの好みや要望などが変われば、作り手もそれに応えていかなければ廃れてしまいます。やはり、その時代の嗜好に合わせて変化させていかなければならないと感じます。こんなことを素人の私が書いても、自分でもどこをどのように変えればよいのか全くピンと来ないのですが、技術を持つ人にとってはどこにポイントがあるか、きっと分かるのでしょうね。
そういえばどこかの記事で読んだのですが、長く続く老舗と呼ばれるところもこのような変化を繰り返しているのだそうです。私が読んだ記事は食品関係の老舗の話のようでしたが、昔ながらの変わらない味を届けてくれているお店だそうです。最初、私は「このお店はかなり昔から時代を通して変わらない万人受けのするモノを作り出したんだな」と思っていましたが、その記事を読んで驚きました。実を言うと、昔と変わらないと感じるのは、それを食べた人の感想なのだそうです。作る側はそう感じてもらえるように、時代に合わせた微調整を常に繰り返して行っているのだとか。時代による人の嗜好の変化もあるでしょうし、季節によって嗜好も味覚もまた変わってきます。それに合わせて、いつも試行錯誤を繰り返しながら「変わらない」と感じてもらえるように、微調整を繰り返す工夫をしているのだそうです。老舗の歴史は、じつは微調整の歴史でもあったんですね。
私が知っていることだと限りがありますので、もう少し突っ込んでみるために調べてみました。それによると、老舗も生き残るためにいろいろと工夫をされているとのこと。これはきっと職人の方の場合も通じるところがあると思いますが、それぞれが持つ伝統を守る事は絶対条件ですが、それと同時に常に変化に挑戦していくこと、この継続と繰り返しが重要だという事でした。むしろ、一回の成功で胡坐をかいてしまうと長くは続かないという事の証であると言えるのではないでしょうか。
とくに、昨今はSNSによる情報発信は非常に重要です。いくら古くから続くと言っても、世間的に知名度が低ければ誰も買わないでしょう。これは何も老舗に限った事ではありません。どの企業も店舗も、今はこぞってホームページを作って情報発信をしてどのような仕事をしているのか、どんなものを作っているのか等を公表しています。また、ブログを書いていろいろな知識を知らしめたりウラ話を載せたりもして、読み手の興味をそそる工夫もしています。また、オンライン上に店舗を設けてモノを販売するオンラインショップも溢れています。自分が買い手になったときには、むしろ情報が多くてどれを取ったらいいのか判断に迷うくらいです。
こういった今の時代のツールもどんどん使って、知的財産の情報を発信したり、人材の育成に力を入れて後継者を育てたり、自分たちの強みを発信したりして、知名度をさらに上げていく工夫もされているんですね。
