形から入る | サポートライター みけ の独り言

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電子書籍のはなし、文章のはなし、ことばのはなし、書く事、話すこと、ゆめのたねで喋っていることなど、言葉にまつわるいろいろなことを中心に、書いてみたいと思っています。

 

今回は「形から入る」がテーマです。本来ならこの言葉の後に続きがあって、「形から入って心を作る」とか「形から入って中身を整える」というような言葉が続きます。言葉の意味からすると、先に枠組みを作ってしまおうという意図のようですね。

一般的にはあまり好い意味で使われることの少ない言葉のように感じています。例えば、新たに始めるスポーツなどに対して道具やユニフォームなどを先に準備して、すべてが整ったら練習開始というような人に対する揶揄の使い方をする印象もあります。

実際の意味は、「ある目標を達成したり、ある状態になるために、まず見た目や行動など、具体的な形から入ることを指す言葉です。例えばスキーを始める際に、まずスキーウエアなどを最初に揃える人のようなイメージです。外見から入ることで目標への意識を高めて行動を促し、最終的には心もそれに伴う状態になることを期待する考え方です。つまり、外見に見合う自分になれるように、目標とする姿をイメージしやすいように先に整えてしまおうという考え方ですね。

視覚的にも見える部分から整えるために、人によっては中身や本質が疎かになったり後回しにされたりするかもしれません。しかし、目標があって、しかもそこに出来るだけ早く辿り着きたいという思いがあるなら、最後までモチベーションを維持する必要があります。形から入る時には外見や道具が揃っているわけですから、形だけは完成した姿がそこにあるということになります。それを身にまとっていれば、モチベーションは維持できるのではないでしょうか。

そして、その姿で活躍している自分をイメージすることも、外見が整っていればさほど難しくないと思います。「その気になる」とでもいうのでしょうか、空想であれ妄想であれ、自分の姿が頭の中に映像として浮かぶところまでイメージが出来れば、実現はより近くなると思いませんか。

慎重に物事を考えてなかなか最初の一歩が踏み出せない人にとっては、むしろ自分が動き出すためにはもってこいの方法だと感じます。また、準備にかける費用もバカにはなりません。「それだけの投資をしたのだから」という気持ちがあれば、何とかして続けようという気にもなるでしょう。

形から入るという言葉を実践した場合、こういったメリットがあるんですね。「続ける」とか「マスターする」とか、そういう点では良い言葉だと思います。

そのうえで、「形から入って心を作る」という言葉を考えてみると、さらに奥が深いということが分かります。実際には「形から入って心に至る」という言葉が正しいようでした。その意味は、最初のうちは形から入るので単に真似をしているだけの状態ですが、それがやがて実践や行動を続けていく間に心がついてくる、心が整ってくるといった意味です。何も考えずに、ただ闇雲に行動だけしているならば、なんの気付きや工夫しようという気持ちは出て来ないでしょう。

しかし、マスターしたいという気持ちがあって行動しているのであれば、「もっと、こう工夫すればどうだろう」というような気付きが出て来ます。試行錯誤を重ねることで工夫も生まれるでしょう。そんなことの積み重ねもあれば、上達が早くなるかもしれません。

ある記事に書かれていたことですが、人間はなかなか自分の思考が変えられないそうです。確かに、自分自身を振り返ってみてもそう感じます。そんな時に有効な手段の一つとして、思考を替えようと努力する前に、先に言葉を換えてしまう方法を提案していました。なぜ先に言葉を換えるかというと、思考が言葉を作るからだそうです。ですから、思考を変えるために言葉を換えて、思考を変えてしまおうというわけですね。

こういったこともあって、心に至るというわけですね。形から入るといってもどうしても最初のうちは真似をすることしかできません。先達がいれば指導を受けることも出来るでしょうが、自分から望んで行動を始める場合は一人でするしか方法が無い事もあるでしょう。そうなると、どんな人の真似をするかで結果が変わってきそうです。どうせなら理想的な人の真似をしたいですよね。

 

こういった学び方のことを心理学的にはモデリングというそうです。理想とする人の様子をしっかりと真似をすることによって、自分がその人になりきってしまおうとするわけです。行動だけでなく、その行動の元になる思考まで自分にコピーして取り込むならば、また「この人なら、こんな時にはどう考えるだろう、どんな行動を取るだろう」と考えるに至れば、その理想とする人の考え方や捉え方、価値観まで自分のモノにしてしまえるかもしれません。これは自分にとって、大きな成長となるでしょう。

今回は「形から入る」という言葉をテーマにしましたが、じつはよく似た言葉で「型から入る」という言葉もあるようです。使っている漢字が「形」と「型」ですから似ている感はありますが、少し意味がようです。「形」の場合は外見や道具などのように「形あるモノ」が対象になりますが、「型」には「複数の同じモノを作るうえでの原型になるモノ」といった意味があるようです。基本となるモノのことで、武道や芸事などが分かりやすいでしょう。基礎となる所作や動作などを指します。

型の場合、最初のうちは一定の基礎的な動きや所作を際限なく繰り返すところから始まります。身体が勝手に動いてキチンと動作がこなせるところまで訓練を繰り返すことになりますので、最初のうちはなかなかモチベーションが上がらないかもしれません。しかし、これがキチンとできるようになると次の段階に進みます。進歩向上も次第に早くなることでしょう。

守破離という言葉がありますが、型から入るような武道や芸事の場合に当てはまる言葉のようですね。最初は忠実に型を繰り返して身に付ける「守」、次に工夫を凝らして発展させていく「破」の段階、最後に自分のオリジナルなスタイルを完成させるための試行錯誤を繰り返す「離」の段階となります。

形から入るのが良いのか、それとも型から入るのが良いのか、この辺りは何が対象となるかで変わってきそうです。どちらにもメリットがある反面、デメリットもあるでしょう。続けるうえでのモチベーションにもよりますが、形から入る方が(なんとなく)続けやすそうに感じました。