一昨年の秋,親友のNoriさんが逝去してしまい,遺品の一つであるLUXMAN L-309は知人の K氏のとこに嫁いで行くことになりました。簡単なチェックだけで「壊れていない」と判断し, K氏にお渡ししたのですが,右チャンネルの音がごく小さいことが判明。で修理に出すとするとかなり高額になるのと久しぶりに「オーディオ工作」をしてみようということで再び我が家に戻ってきました。
Noriさんは学生時代随分と裕福だったため,こんな高価なものを何の躊躇いもなく購入していたのです。何せこのAmpは半世紀前の代物とあって,部品の劣化は多少なりともあるはずで,ネット検索してみるといろいろ「修理」の情報が出てきます。一番厄介なのはボリューム,スイッチ類の劣化で,当然の如く部品が手に入りません。そして次がトランジスタです。互換品を探すことになるのですが、プリアンプの中に使われている 2SA640 は音が良いことで知られているそうですが,ネットショプで検索しても見つかりません。そして頼りになる「トランジスタ互換表」は持っているのですが,どこにしまい込んだか不明なのです。 しかし,ネットで頑張って検索するとそれなりの互換品が見つかります。
と,頑張りつつとりあえず分解し,内部の検査をしてみる必要があります。木製キャビネットは簡単に取り外せるのですが,フロントパネルがすごく厄介な構造になっています。
つまみを抜き取るとスイッチ類を取り付けているナットが見てくるのですが,半世紀の年月があり固着しているものもあるのです。さらには変なとこにネジがあったりで簡単には外せません。また,内部を見ると
基板間の配線にはコネクタが使われておらず,全てしっかりはんだ付けされているのです。
まずは不具合のあるところを探してます。低周波信号を入力し,各部の出力をチックしていけば良いのですが,長期戦が予想されそれらを並べたままにして置く場所もありません。そのため,原始的な方法として,各基板の入出力端子を指で触れ,雑音レベルをチックしてみることにしました。その結果は上の写真で取り外している基板「Linea Equalizer」の右チャンネルであることが判明しました。
予想される「劣化部位」は Tr,コンデンサ,ロータリースイッチの接点です。いろいろトライされている人でも「回路図がない」と嘆いているのですが,探してみると簡単に見つけ出すことができました。名機と言われる割にプリアンプ部は単純なTr二段のアンプになっているのです。
回路図が手に入り,かつTrが基板左側に四つあるだけなので不具合箇所の特定はごく簡単だと思ったのですが,そう簡単ではありません。
このままではテスターで色位探ってみても異常箇所が見つかりません。そうなると一つずつ怪しいパーツを取り外してチックしていくことになります。
初段のTrは 2SC1222 が使われていることになっているのですが,実際には 2SC1345でした。二段目は2SA640で,HFEを調べてみるとやはりかなりの低下が見られます。ところが「念の為」ということで別のテスターで測定してみると「異常」というほど小さくはないのです。
その値は
テスター1 テスター2
2SA640 183 260
2SC1345 120 324
2SC1345は 高HFEを謳いにしているようなので,「324」でも少し小さいようには感じてしまいます。
では,もう一つの原因として コンデンサーの劣化を調べることに。とこが「短絡」などの異常は見つかりません。 恐れていたことが起こりそうで, 気合を入れて調べていくことになってしまいそうです。
つづく