MERMAN2のブログ -3ページ目

決意 7

自分の知っている女性が自分の家から飛び出してきた、服が乱れていた、涙が流れていた、そして靴だけがポツンと残っている。

助けるつもりでやった行為が正しかったのかもわからなくなってしまった。

そっと家の中を覗くと何事も無かったかのように父親がタバコを吸っている。
小学生には当然理解し難い状況だった。

8f09740e.jpg


次に自分がどんな行動をとればいいのか考えてもわからない。
そんな状態のレコに父親から話しかけた。
「おい、入って来い。」

なにも考えずすっと家の中に入るレコ。
「こっちにきて座れ。」
まだ何も考えれないレコは言うとおりにした。

しかし次に喋りだしたのは意外にもレコだった。
「先生に何をしたの?」
質問の答えはすぐ返ってきた。
「黙れっ!」
怒鳴り声と同時に父親の強烈な蹴りまでセットで付いてきた。

酔った大人の足はレコの胸の辺りをめがけて飛んできて、体重の軽い小学生は3メートルほど後ろに転がり壁にぶつかって止まった。

それでもまだスッキリしない父親は寝転がったままのレコの頭を踏みつけながら落ち着いた口調で話しかけた。
「なんで邪魔したんだ?なんで言う事聞かなかったんだ?わざとか?」
怒鳴ってはいないが逆に怖い喋り方だ。

何も反応しないレコにさらにイラ立ってきた父親は踏みつけていた足でドン!ドン!と蹴りはじめた。
「口がないのかお前は?謝り方を忘れたのか?」
口調がだんだんときつくなり蹴る力まで強くなってきた。

痛み、恐怖、屈辱。
まるで当たり前のように涙が出てきたレコは、自分でも意識の無いまま口が勝手に動いていた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」



決意6

先生は一瞬、初めて聞いた言葉かと思うほど意味がわからなかった。
変わった人間だとは思っていたが、その言葉を聞いて自分の身の危険を感じた。

そんな相手に顔色など気にもせず喋りだす父。
「いい体もしてるし。彼氏はいるのかい?」

直感で逃げないと危ないと感じた先生は「今日は帰ります。またお酒を飲んでない時に伺いますので。」と焦った様子で早口で告げ、すぐに立ち上がり玄関に向かった。
急いで靴を履こうとしていると、右手でガッと髪の毛を掴まれ左手で左腕を掴まれた。女性の助けを求める本能で声を上げようとすると、今度は髪の毛を掴んでいた右手で口をふさがれてしまった。
必死に抵抗するものの、そのまま男の腕力で家の中まで戻され布団に押し倒された。
しかしその瞬間、口の手がはずれとっさに大声で助けを呼ぼうとする。
「たす・・・!」
バチン!
全く叫ぶことすらできないまま張り手をくらった。
耳がキーンとなり、頭がクラクラとするほどの本気の張り手だった。


怯える先生を見て、おとなしくなったと思った父親の顔はニヤついていて、その顔に罪の意識などみじんも感じられない。
さらに「抵抗すると取り返しのつかないことになるぞ。」と脅してきた。

(このまま私は・・・。)と、想像したくもないことが頭をよぎった瞬間、急に涙が溢れ出してきた。
生徒の父親が冷酷な悪魔に見える。

先生は「お願いします。やめてください。」と泣きながら訴えた。
そんなことなど聞こえない父親はもう止まらなかった。
先生の白いブラウスのボタンが悪魔にの手によって引きちぎられる、その瞬間インターホンが鳴った。





レコだった。
不安で不安で耐え切れなくなったのだ。
自分の父親から逃げてばかりのレコが生まれて初めて逃げずに行動に移した瞬間だった。
自分のことなら逃げていただろうが、憧れの先生の危険を考えるといてもたってもいられなくなり、家に戻ってきた。
しかし玄関の扉は不自然にも鍵が閉まっていて、インターホンを鳴らすしかない。
ガチャガチャと取っ手を動かし、ドンドンドンと扉を叩き続ける。
「お父さん!先生!」その声は震えながらも必死に叫んでいた。


さすがに父親も誰かを呼ばれたら困ると思い、我に返った。
先生も父親の力が抜けたその一瞬を見逃さず、手で突き放し玄関に走った。
諦めて追う気がなどなさそうな父親に、先生はその数秒は本能がそうさせたかのように、まさに必死の形相で何も考えず行動していた。


急に扉が開いたと思うと先生が飛び出してきた。
驚いたが、さらに驚いたのは心配していたその先生の服が乱れ、そしてその目には涙が流れていたこと。


一瞬目が合ったかと思ったが先生はそのまま一心不乱に走って行った。
靴すら履いていないそのうしろ姿は、呼び止める隙など無かった。





ケツイ5

レコの父親に事情を説明する先生。お金や家庭の話などはまだせず、今まで出来なかった家庭訪問ということで話しをしようと持ち掛けてみると父親は意外にもあっさり承諾し、家に招き入れようとするが、その足元はかなりおぼついていた。こんな状態でまともに会話ができるのか不安になったが、可愛い生徒のためと覚悟を決めた。
レディーファーストのつもりだろうか、扉を開け先に先生を中に入れる、そして不安な顔のままのレコが入ろうとすると、フラっとレコの前に立ちふさがる父親。
先生には背を向けた状態、そして小声でレコに言った。
「大事な話しをするから外で待ってろ。」予想外のセリフだった。
しかしその目はレコに何も言い返せないよう睨みつけていた。
この目で睨まれるとレコは恐怖からなんでも言う事を聞かざるをえなくなる。
「はい。」
小声で答えた瞬間バタンと扉を閉められた。
先生がその音で振り返ると半笑いの酔った男が一人だけ立っているという予定外の状況に。「レコ君は?」不安になり思わずそう聞くと、「お茶を買いに行かせたんです。今うち何も無いんでね。」
こんな状況では何を聞いてもウソくさいが信じるしかなかった。

座らされ軽く周りを見渡すと、大量のビールの空き缶、灰皿に溜まったタバコの吸い殻、タバコで黄ばんだ壁、長い間洗ってなさそうなグシャグシャの布団、その全てが先生を不安にさせるための材料になった。



外ではレコが何も言い返せず、なんでも言いなりになってしまう自分にむかついていた。
頭の中で不安がよぎる。どんな父親かバレる、バレればその後が怖い、どんな目に遭わされるだろうか。レコもまた虐待やいじめに遭っていて誰にも相談できない少年達の典型的な考え方になっていた。
さらに今回は自分の父親が先生にまで何かしないだろうか?という不安もあった。
それでも行動に移せず、悔しいと思うことしかできない自分にまたむかついていた。
兄を待ってもまだ時間は夜の7時前、まだまだ帰ってこない。
(何も無い事を信じるしかない。ごめん、先生。)


家の中では父がタバコを吸いながら先生に酒を勧めていた。
当然断ったが、父はすでに酒が入っているにも関わらずさらに一人で飲み始めた。
家庭訪問と伝えたはずなのに父親のその態度と無神経さに驚いた。

酒を断られた瞬間ムッとした態度をとったかと思うと今度はレコの担任の教師である女をヘラヘラと見つめている。
しかも目線は顔だけでなく、明らかに胸や足などもじっくりと見ているようだった。
その態度は誰が見ても人の話を聞くような態度ではない。

レコが本当にお茶を買いに行ったのかもわからない、すぐ帰ってくる保証などないと思い、早めに質問だけしてこの場から逃げる事にした。
「いきなりで申し訳ありませんが、レコ君の修学旅行費についてなんですが。」
話を聞く気があるのかもわからない父親に対し、真剣な表情で話し出す先生。
「今日初めて合ったから知らなかったけど・・・。」と、ダルそうに喋りだした。会話をする気はあるようだ。
「先生さぁ、可愛い顔してんだな。」