デボンの青々とした草原で草をはむ乳牛。その乳脂肪分の多い乳からクロテッドクリームができる(c)Stephen Bond/Alamy
ウエストカントリーは、クリームティーが誕生した土地。英国で最も愛されている午後の習慣のひとつだ。
デボンやコーンウォールの農家は、自分の家でクリームティー用のクリームを作っている。作り方は昔も今も変わらない。低温殺菌処理をしていない上質のしぼりたてのミルクを浅い鍋に入れ、火にかける。表面に分厚い濃厚なクリームの層ができるまで、決して目を離さない。この作り方は数百年前に誕生した。10世紀、デボンのタビストックに住んでいたベネディクト会の修道士たちが、修道院の再建に手を貸した巡礼者にクリームをふるまったのがはじまりといわれている。
クロテッドクリーム
クロテッドクリームという、高脂肪でバターのような食感のクリームは、デボン流クリームティーの主役だ。これと焼きたてのスコーン(1人に2個、プレーンでもフルーツスコーンでもお好みで)と手作りジャムがセットになっている。
半分に割ったスコーンにたっぷりとクロテッドクリームとジャムをのせて食べる。この午後の楽しみには、濃いめの紅茶が合う。ブラックでも“ホワイト”(ミルクを入れて)でもいいが、砂糖は入れないほうがいい。その味と食感が絶妙の組み合わせだ。
昔、このボリュームのあるスコーンは、農場の働き手が夕方まで作業を続けられるようにと、農家の主婦が用意したものだった。今ではこの「クリームティー」は、農場にもティールームにもパブにもあるが、田舎の雰囲気にひたるには欠かせない、くつろぎのひとときになっている。
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■ベストシーズン クロテッドクリームもデボンも、夏が最高。小さい農場には夏だけ観光客を受け入れているところもある。
■旅のヒント 農場の多くはクリームティーの看板を掲げていない。地元の人にお気に入りの場所を聞いてみよう。みんな意見が違ってかえって戸惑うかもしれないが、それも旅の醍醐味だ。
【見どころと楽しみ】
<クロテッドクリーム>
・クリームティーを味わいにデボンへ行けないなら、自分でクロテッドクリームを作ってみよう。それにはしぼりたての濃いミルクが必要だ。
・ミルク7.6リットルを大きな浅い鍋に入れ、表面に脂肪分を浮かせるために、一晩涼しいところに置く。翌日、鍋を火にかけ、とろ火で1時間温める(決して沸騰させず、かすかに揺れ動く程度)。徐々に黄色のクリームが波立つ厚い層が表面にできてくる。静かに火から下ろし、完全に冷めてから表面のクリームをすくい取る。スコーンがなければ、焼きたてパンに塗って食べてもおいしい。
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