「どうして、あのとき泣いていたの?」

君は誤魔化すように笑って

「そんなの忘れてしまったわ。」

と言った。


春になって、景色は色づき
桜の花は一段と綺麗に咲いた。


「桜はあまり好きではないの。」

そう言いながら

とても眩しそうに、愛しそうに
目を細めた君が

花びらを一枚手にのせて

「だけど、やっぱり綺麗ね。」

と、泣きながら微笑んだ。



僕はその横顔を
ただ見つめることしかできないのだ。

いつか君が打ち明けるまで。