僕は今、人生最大のピンチを迎えている。



大人はみんな僕の悩みを笑う。

「そんなの今だけさ」
とか
「大人になったらもっと大変だぞ~」
とか。
もっとひどい時は
「お前は悩みなんてなくていいよなぁ」
なんて言うんだ。

僕にだって悩みはある。
例えば…
「今日のテストの点数が悪かったら、どうしよう」
とか
「同じクラスのミキちゃんと隣の席になれなかった」
とか。
僕だって悩んだり、考えたりしているんだ。


現にいま、僕はすごく困って悩んでいる。


僕は今トイレに行きたいんだ。
だけど、今は算数の授業中。
手をあげて、先生にトイレに行きたい。と言いたいのだけど
そんなことしたら、クラスのみんなにからかわれるに決まってる。
それに戻ってくるのが遅かったら僕にはきっと、とんでもないあだ名がつけられる。



考えた結果、僕は具合が悪いということにした。
クラスのみんなは心配そうに僕を見てた。
僕は保健室より先にトイレにかけこんだ。
僕はピンチを乗り越えたんだ!
誰も僕がトイレに行っただなんて知らない。変なあだ名をつけられる心配もない。


具合は全然悪くないけど、僕は一応保健室に行った。
「なんか、少しだけ気持ち悪い」
なんてウソまでついた。

一時間だけベッドで休んで、僕は教室に戻った。
みんな心配そうに駆け寄ってくる。
僕はなんだか嬉しくなって、みんなに何度も「大丈夫。大丈夫。」と笑って言った。


僕は最初から具合なんて悪くなかったし、本当はすごく元気なのに
午後の体育は見学になってしまったのは今日一番の失敗だ。






大人になったら僕も今日の日のことを笑うのかな?
くだらないことだと言うのかな?

そんなこといくら考えてもわからないけど、今日の僕にとってはこのトイレ事件は一大事だった。てことはたしかさ。