廃品置き場の自動車の中で暮らすホームレスの親子。
大卒エリートと噂される父親(又吉直樹)と中学生にしては大人びた子供(大沢一菜)は、いつもどこか芝居じみた様子で「理想の家」について語り合っています
〈以下ネタバレあります〉
理想の門構え、ドアの種類、外壁や室内の壁の色…
日課の空き缶拾いや、食べ物の施しを受けながらも二人はいつも「ここではないどこか」を見ていました
一方、島さん(藤井隆)の会社で働くタツヤ(仲野太賀)は「理想のカフェ」の建設に向けて熱心にプランを立てていて…
ようやくその住民説明会の日取りが決まったある日、街で事件が起こります
その事の発端から見ていたのは、半助(池松壮亮)の相棒のトラ(擬人化した時:皆川猿時)でした
その日、シメサバをもらった息子は父(=リッチマン)に「よく焼いて食べるようにと言われた」と伝えるのですが、なまじ教養があり、シメサバはそのまま食べるものだと知っているリッチマンは「それは聞き違いだ」と言い、二人はそのまま食べてしまうのです
トラが鳴いて止めるのも聞かずに
その夜、激しい腹痛に襲われるリッチマン親子でしたが、やがてリッチマンは症状が軽く持ち直します
しかし、息子はそれからも苦しみ続けることに
息子が動けないことで、食料を得ることができないリッチマンと息子
ひもじさに耐えきれず、息子の代わりに食料をもらいに行くリッチマンでしたが、もらえたのはオカベ(渡辺大知)のパンぐらいでした
雨の日、トラがあまりに鳴くのでリッチマン親子の住む廃車に導かれて来た半助は、そこでグッタリしているリッチマンの息子を発見
タツヤも加わり息子を助け出しますが、救急車を呼ぼうとした半助はタツヤに止められます
「放っておいてあげようよ、この前通報したのもお前だろ、救急車呼んだらここにいられなくなるんだ」
「死んだら意味ないじゃん」と言う半助
たんばさん(ベンガル)が、保険証がなくても診てくれるという医者を連れてきてくれますが、間に合いませんでした
雨の中、言い争う半助とタツヤ。
二人のそれぞれの思いが、切なかったですね
息子は夢を見ています。
リッチマンに最後にわがままを言ったこと。
「プールを作ってください」
その願いが叶い、理想通りの家の庭にあるプールに飛び込む息子
そんなことがあってから、タツヤのカフェのプレゼンには3人しか人が集まらず…
結局、その件は立ち消えとなってしまいます
その後、リッチマンは街を出て、橋の下へと移り住みます。
「君が僕にねだったことは、プールを作ることだけだったね」
なんともやるせないお話でしたね
悲し過ぎました